恋愛ゲームの終焉? 「スローニング」が映し出す、承認欲求と消費される関係
Googleの2024年トレンド検索ワードで、恋愛関連でもっとも検索された言葉は「Throning(スローニング)」だったそう。まるでゲームのように、相手を自分のステータスのように扱い、その関係性を通して承認欲求を満たそうとする、新しい恋愛傾向を表す言葉だ。
どうやら、この新たなトレンドがZ世代の間で広がりをみせているらしい。
相手を利用し自尊心を満たす
恋愛新潮流「スローニング」とは?
ビジネス系メディア「NDTV Profit」の記事によると、臨床心理士のDivyanshi Prabhakar氏は、スローニングは自尊心の低さと、他人からの承認への渇望に根ざしていることが多いと指摘したうえで、こう付け加える。「交際関係における態度として、スローニングは彼らの自尊心の低さや承認欲求から現れるものです」。
まるで、Instagramのフォロワー数や「いいね」の数で自分の価値を測るように、恋愛においても相手を利用して自尊心を満たそうとする。そこには、心が満たされないまま、消費と承認のループに陥っていくZ世代の姿が透けて見える。
「好き」のその先に、何が待っている?
消費される関係と「推し活」の共通点
興味深いのは、この記事でスローニングと対比して挙げられている「Clout-chasing(影響力追求)」だ。YouTubeで1,400万回再生された番組『India's Got Latent』のあるエピソードでは、参加者がコメディアンのSamay Rainaに執拗に言い寄る様子が放送され、彼は、フォロワーとの恋愛関係を望まないとはっきり断言している。
影響力を持つ側と、その影響力に群がる構図は、アイドルとファンの関係性にも通じるものがあるだろう。 「推し」への一途な愛情は、時に暴走し、対象を自分の所有物のように扱おうとする危険性を孕んでいたりもする。
スローニングと「Clout-chasing」。それは、承認欲求という名の歪んだ鏡に映し出された、現代社会の縮図とも捉えることができるのではないか。
「いいね」よりも大切なもの
心からの繋がりを求めて
スローニングという言葉が示すように、恋愛の形は時代とともに変化していく。しかし、どんな時代も変わらないものがある。それは、心と心が通い合う温かさ、相手を思いやる優しさ、そして共に人生を歩む喜びだ。
「いいね」の数やフォロワーの多さではなく、本当に大切なものを見失わずにいたい。目まぐるしく変化する世界で、心の羅針盤をしっかりと握りしめていくためにも。