英企業:「週3休暇を体験したら、週5勤務なんてバカバカしくなるよ」
かねてより囁かれてきた「週4勤務」の夢が、いよいよ現実に近づいているかもしれない。
イギリスにて昨年6月から6ヵ月にわたって実施されてきた「減給なしに、勤務時間を20%削減」というテスト。61の団体が参加した史上最大級のトライアルが終了し、その結果のレポートが公開された。
端的に言うと、“大成功”だったらしい。
大半の企業はフルタイム時の生産目標を維持(それどころか、平均で1.4%増加)したうえ、従業員の職場でのストレスを大幅に削減することにも成功。
いわく、71%の従業員が燃え尽き症候群のレベルを下げ、39%が「ストレスが減った」と申告したそう。さらに、病欠は65%、離職者も57%減少したという。
ほかにも、子育ての時間を確保できたことで養育費が節約できたり、あの“日曜日の憂鬱”すら無くなったとする回答もあったとか。
英国議会に提出された調査報告書では、本プログラムに参加した企業の92%は週4勤務制を継続し、うち18社は恒久化を示唆。
これには、金融関係からECサイト、コンサルやIT、接客、マーケティング、アニメスタジオまで、幅広い領域の団体が含まれている。
あるコンサル企業のマネージャーは、「一度この制度を体験して“4日間で全力を出す”ことができたら、週5労働なんてバカバカしく思えるよ」と語る。
なお、この調査はケンブリッジ大学を中心とする研究チームが行なっているもので、先の英国のほか、米国やアイルランドでも小さな規模で実施されている。
いずれも同様の結果が出されたこと、信頼のおける同大学が手引きしていることを踏まえれば、週4勤務の効率性は担保されたと言えるだろう。
ケンブリッジの研究者は、「週4勤務を夢から現実的な政策に変えるための、勇気づけられる結果だった」とコメントしている。
ただし、その実施方法は企業によってさまざま。
完全に3連休を確保する企業もあれば、1週間の中での時差出勤を導入した企業、夏季・冬季に分けて1年間の休日数を計算した企業も。また、いくつかの企業は休日の増加にノルマを課したり、緊急の案件には対応できるようにしたりもしていたようだ。
一方で、少数のクリエイティブ系企業などからは、週4労働が「むしろ一日のタスクを増やす懸念」や「集中作業が必要になることで、カジュアルなコミュニケーションやそこから生まれるアイデアが減る」といった不満の意見も見られたという。
業種や企業文化によって事情は異なるだろうし、こういった視点が広がるのは善い傾向。「ただ休みを欲する」よりも、各組織や個人、状況に応じてワークライフバランスを整えるために、この制度が洗練されていくことを期待したい。