Amazonがリモートワーク廃止を宣言。大企業に広まる「オフィス回帰」
すっかり浸透したコロナ禍の慣習も、そろそろ“お別れ”のときがきたようだ。
米大手「Amazon」が、リモートワークとオフィス勤務を組み合わせた、「ハイブリット勤務」を廃止すると発表。開始は来年1月からだそうで、従業員たちはオフィスへ週5日出社することが求められ、リモートワークは病気や家庭の事情などの特別な場合に限って認められるという。
オフィス復帰で取り戻す「企業文化」
「Amazon」CEOのアンディー・ジャシーは、この改革で従業員たちが「発明し、協力し、互いに十分なつながりを持つことができるようにする」と述べている。今回の改革、同氏が期待を寄せるのは、“企業文化の復活”ではないかと『BBC』は報じる。
元来、Amazonはグローバルに成長しながらも、ベンチャー気質を保っていることが強みであったが、柔軟な働き方やコロナ期間中に増えた官僚層の多さによって、この企業文化は希薄化していたようだ。そこでジャシーは、組織構造の変更とともに、もともと懐疑的であったリモートワークを廃止。対面でのコミュニケーションを復活させることで、顧客のために発明する情熱と緊急性、組織内の共通のコミットメントを取り戻し、“世界最大のスタートアップ”として運営することを目指すという。
Meta、Open AI、X……
大企業に広まる「RTO」の動き
リモートワークに対して懐疑的な大企業のCEOは決してJersy氏だけではない。
例えば、「Meta社」のマーク・ザッカーバーグは同社の業績から「在宅勤務者はオフィス勤務社ほど効率的ではない」と判断し、昨年9月より、従業員たちに最低週3日の出社を義務付けている。
Open AIのサム・アルトマンは、リモートワークを「テック業界の最大の過ちの一つ」と表現。「特にスタートアップでは、人が完全にリモート業務をできるほど、テクノロジーは発展していない」との見解を『Fortune』誌に対し語っていた。
「X」、「Tesla」など、すでにリモートワークを原則禁止とする企業もあり、「RTO(Return To Office)」という単語も生まれるほど、オフィスワーク復活の動きは、大企業の間で一つの潮流と化している。専門家たちは、今回の「Amazon」発表が他の企業のRTOを加速させると予測。
パンデミックから4年余り、“ニューノーマル”としてすっかり定着したリモートワークは、巨大企業の改革とともに早すぎる終わりを迎えるのかもしれない。