オフィスの机が店舗に変わる?コロンビアの働き方を支えるMakroの挑戦
オランダ発の会員制卸売大手Makroが、コロンビアで働く人々の日常に寄り添う画期的な取り組みを始めた。
2025年5月に始動した『Deskshops』は、オフィスワーカーのデスクを小さなMakroの店舗へと変えるキャンペーン。これは、現地の文化に根差した、ブランドと消費者の新たな関係性を築く試みといえる。
副業文化を支援するマイクロストア
コロンビアのオフィスでは、収入を補うために自身のデスクでスナックや化粧品などを販売する光景がごく当たり前に見られるという。
Makro Colombiaはこの独自の文化に着目し、それを妨げるのではなく、むしろ後押しする形で支援する。
『Deskshops』の仕組みは明快だ。
参加希望者は専用アプリから登録すると、Makroのロゴが入った段ボール製の小さなキオスク(Deskshop)を受け取る。
商品は職場まで直接配送され、参加者はMakroならではの卸売価格で仕入れた商品を販売し、その差額を収入として得られる。これにより、既存の副業がより洗練され、安定したビジネスへと昇華するかもしれない。
このキャンペーンは、広告代理店のVML Colombiaによって制作された。
巨大企業が示す新たなスケール感
この取り組みは、Makroが打ち出した新しいブランドポジショニング「Makro is also Mikro(Makroは、ミクロでもある)」を象徴している。
巨大な倉庫型店舗を運営する同社が、個人のデスクという極めて小規模なスケールでも価値を提供できることを示す戦略だ。
Deskshopsは、一方的な広告ではなく「支援」という形を取ることで、ブランドへの好意的な認知を広げる。各デスクがMakroの看板を背負うことで、有料メディアを介さずに、人から人へとブランドが自然に浸透していく。
これは、人々の日常生活に役立つ存在になることでブランドの可視性を高める、巧みなアプローチといえるだろう。
参入障壁なき起業家精神のサポート
2022年のOECDの報告書によると、コロンビアでは労働人口の半数以上がインフォーマル経済に従事しているとされる。
多くの人々が、生活のために日用品の転売などを行っているのが実情だ。『Deskshops』は、こうした社会背景に対して、非常に低い参入障壁で起業の機会を提供する。
初期費用は不要で、在庫を抱えるリスクもなく、誰もが安心して自分のビジネスを始められる。
このキャンペーンは、参加者にとっては収入を増やす手段となり、Makroにとっては商品の販路拡大と、人々を支えることによるブランドロイヤルティの構築に繋がる。
社会に根付いた文化を深く理解し、それに寄り添うことで、企業と消費者の双方に利益をもたらす好例だ。






