時代遅れの「通勤に苦しむことが生産性向上に繋がる」という考え。若手CEOが唱える“最高効率”の働き方
「オフィスでみっちり働く」ことが美徳とされてきた時代は、とうの昔に終わりを迎えている。
最近、アメリカのZ世代CEOが、従来の労働観に一石を投じる発言をして話題になっている。
「在宅勤務=悪」は本当? 議論を巻き起こした、ある発言
事の発端は、イギリスの大手スーパーマーケットチェーン、Marks & SpencerやAsdaの元CEOであるLord Stuart Rose氏の「在宅勤務では適切な仕事ができない世代が生まれている」という発言だ。BBCの番組「パノラマ」で語られたこの意見は、多くのメディアに取り上げられ、物議を醸した。
そんな中、ソーシャルメディア代理店Socially Speakingを経営する24歳のCEO、Vicky Owens氏は、Rose氏の発言に真っ向から反論。
「長距離通勤の苦痛」と「生産性」は関係ないとし、自身や社員はハイブリッドワークによって「むしろ生産性が向上している」と主張した。
Owens氏によると、Socially Speakingでは8人の従業員全員がハイブリッドワークを採用し、柔軟な労働時間設定を導入している。彼女は「休息」と「怠惰」を明確に区別し、勤務時間中に適切な休息を取ることで、より効率的に働くことができると考えている。
「Netflix」や「Vogue」「TikTok」などの有名ブランドのソーシャルメディア戦略も手掛けるOwens氏は、「通勤に苦しむことが生産性向上に繋がるという古い考え方が信じられない」と断言。
「仕事の合間に休息を取ることは有益だが、それは怠惰とは全く異なる」と、自身の考えを明確に示した。
さらに、Owens氏は「新しい世代は、チーム全体の生産性を向上させるために、よりスマートに、そして従業員のウェルビーイングを最優先に考える必要があると認識している」と、Z世代ならではの視点も披露した。
「強制はしない」Z世代CEOが見せる、柔軟な働き方
Owens氏は、自身の経験から、従業員のメンタルヘルスにも配慮した柔軟な働き方を推奨している。
10代の頃にパニック障害と闘っていた彼女は、「家から出られないような状態のときに、リモートワークという選択肢があったことは非常にありがたかった」と振り返る。
「従業員に無理強いはしない。会社の利益は、従業員に柔軟性、時間、そして空間を与えることで向上することが証明されている」と語るOwens氏。
彼女は、オフィスから40分以上かかる場所に住む従業員には、週2日のハイブリッドワークに加え、フレックスタイム制も導入している。
新しい従業員には、最初の1ヶ月間はできる限りオフィスで働くように依頼し、その後、それぞれの状況に合わせて働き方を調整しているという。
「最高の仕事はベッドの上で生まれた」
Owens氏は、自身も会社の創業者でありながら、最高の仕事はベッドの上で生まれたと語る。
「オフィス勤務=仕事」という固定観念を捨て、従業員一人ひとりの状況に合わせた柔軟な働き方を認め、適切な休息を推奨することで、生産性向上と従業員のウェルビーイングの両立を目指すOwens氏。
彼女の経営方針は、今後の日本企業にとっても大きなヒントになるのではないだろうか。