Meta、WhatsAppからChatGPT排除へ。「Meta AI」2026年1月15日施行
Metaは、ChatGPTやPerplexity AIといったサードパーティ製のAIチャットボットがWhatsAppを通じて提供されることを禁止する方針を発表した。
施行日は2026年1月15日。以降、WhatsAppで利用できるのはMeta独自の「Meta AI」のみとなる。
WhatsAppにおける
AIチャットボットの現状
サードパーティAIの台頭
OpenAIのChatGPTやPerplexity AIは、WhatsAppのメッセージ機能を通じて利用可能となり、多くのユーザーにAIへのアクセスを開いてきた。
ChatGPTは昨年12月にWhatsAppでの提供を開始し、その後、音声メッセージや画像アップロード、さらに画像生成機能も追加。Perplexity AIも今年4月からWhatsApp上で展開を始めている。
Metaの想定外の展開
これらのサードパーティAIの急速な普及は、Metaにとって完全に想定外だった。
TechCrunchの報道によれば、AIチャットボットがWhatsAppのインフラを利用したことでメッセージ量が急増し、サポート体制にも新たな負荷が発生。システム全体に重みがかかっていたという。
ビジネスAPIの制約
MetaはWhatsAppの「ビジネスAPI」を通じて収益を得ている。しかし、サードパーティAIがこのAPIを利用してユーザーとやり取りする場合、Meta側に収益は発生しない構造。ビジネスAPIとは、企業がカスタマーサポートなどにWhatsAppを利用する際の課金スキームである。
つまり、AIチャットボットの“無料利用”は、Metaの収益モデルをすり抜ける抜け道でもあった。
Meta AIの優位性確保に向けた動き
Meta AIの標準搭載
Metaはすでに自社のすべてのソーシャルプラットフォームに「Meta AI」を標準搭載している。
WhatsAppも例外ではない。今回の規制強化は、自社AIを中核に据えるための布石。Metaが取った、極めて戦略的な一手である。
収益化戦略との連動
WhatsAppは月間30億人以上のアクティブユーザーを抱えるが、エンドツーエンド暗号化により、チャット内でのパーソナライズ広告は不可能。Mark Zuckerberg CEOは、以前から「ビジネスメッセージングこそが収益化の柱」と明言している。サードパーティAIの排除は、この領域を自社AIで囲い込むための前提条件といえるだろう。
Metaは今、AIを使った会話そのものをビジネスに変えようとしているようだ。
競合AIへの対抗
ChatGPTのような強力な競合がWhatsApp上で広がることは、Meta AIにとって明確な脅威。今回のポリシー変更は、競合の芽を摘み、Meta AIへの移行を促すためのもの。AIエコシステムの主導権を、完全に自社の手中に収める狙いもあるようだ。
今後の展望と考察
今回のMetaの決定は、AI技術の急速な進化と、それをプラットフォーム上でどう統合・制御していくかという根本的な課題を浮かび上がらせた。Metaは自社AIの普及を最優先としながら、WhatsAppのビジネス利用による収益拡大を狙う。
いっぽうで、ユーザーにとってはAIの選択肢が狭まることになる。Meta AIが、ChatGPTのような汎用的なAI体験をどこまで再現できるか——そこが勝負どころだろう。
もはや、どのAIと“会話”するかを選ぶのはユーザーではないのかもしれない。プラットフォームが決める時代。その始まり、ということなのかもしれない。






