毛沢東も愛した、世界で一番高級なお酒「マオタイ」とは
世界的に有名というわけではないが、国内で絶大な人気を誇る……どの国にも、こうした“国民的◯◯”というものは存在する。
その中でも、とりわけ不思議な価値を持つ商品=中国の国民酒「茅台酒(マオタイ)」をご存じだろうか。
「なんか洗剤みたいなパッケージ…‥」と思ったあなた、見た目で判断するなかれ。
実はこれ、“世界で最も高級なお酒”と呼ばれており、生産元の時価総額も飲料会社としては世界最高と言われているらしい。
その価値はバドワイザーやコロナを所有する会社の2倍以上、ジャック・ダニエルの親会社の10倍以上とされるほどで、安いボトルでも4万円以上、高いものだと500万円を超えることもある。
なぜそんなに高いのか
簡素なパッケージに反してとんでもなく高価であるマオタイだが、値段を裏付けているのは、その希少性から来るブランド力。
マオタイをつくるのにはとにかく手間がかかる。原酒の醸造に1年、調合に3年、その後1年間寝かせてやっと完成と、醸造だけで5年もの月日になる上、原料となる小麦と高粱(モロコシの一種)も中国貴州市の茅台近辺でとれたものと決まっているそう。
茅台でしか生産できないということで、希少価値が高いわけだ。そして、これが転じて富と繁栄の象徴とされるようになり、政治や外交の場を通してその名を轟かせていったという。
歴史と共に「富の象徴」に
有名な話では、中国共産党の創始者・毛沢東もマオタイの愛飲者だったという。
「外交の酒」として利用されたエピソードも多く、ニクソン元米国大統領や田中角栄が中国を訪問したときにも振る舞われたそう。その後も外国からの来賓をもてなすときには必ずといっていいほどマオタイが登場するなど、歴史と共に高級酒としての地位を築いていったようだ。
現在では投資目的で購入する人も多いらしく、1970年に作られたマオタイに2億円もの価値がついたこともあるのだとか。恐るべし……
気になるお味は……
「あんまり美味しくない」らしい
さて、気になるマオタイのお味だが……かなり好みが分かれる、というか多くの人にとって「美味しくはない」らしい。
それもそのはず。そもそもアルコール度数が53%と非常に高く、「火の水」との異名を持つほど。癖になる人も一定数いるのだが、はじめて飲んだ者は必ずと言っていいほど顔をしかめる。特に、外国人からするとかなり強烈な味のようだ。
でも買っちゃう
だって“マオタイ”だもん〜
国外ウケはあまりよろしくないようだが、中国では相変わらず大人気。
コロナ禍でも順調に収益を伸ばし、2023年の年間純利益は10億円近くに上ったという。最近は他の企業とのコラボ商品にも力を入れており、コーヒーやアイス、チョコレートなどが発売された。
そして、そのどれもが即完売したという。コラボ商品の味も相変わらず「好みが分かれる」ものだったようだが、それでもみんな買ってしまった。なぜなら、それが“マオタイ”だから。
ちなみに、マオタイは日本からもECサイトなどを通して購入可能。
富める中国人以外には理解の難しい癖の強いお酒ではあるが、あなたが筋金入りの珍酒マニアか、どうしても“クレイジーリッチな気分”を味わいたいなら、(大金を叩いて)試す価値はあるかもしれない。