歯ブラシから未知のウイルスが600種類以上発見!? 未来の医療を変える可能性も
毎日使う歯ブラシやシャワーヘッド。清潔に保っているつもりでも、実は無数の微生物が付着している。
「どうせ目に見えないし……」そう思ったあなた、ちょっと待ってほしい。その微生物の中にこそ、未来を変える鍵が眠っているかもしれない──。
身近な場所に広がる
ミクロコスモス
米ノースウェスタン大学の研究チームが、歯ブラシとシャワーヘッドから600種類以上という膨大な数のウイルスを発見した。学術誌「Frontiers in Microbiomes」に掲載された論文によると、これらのウイルスは「Operation Pottymouth」という未知の身近な細菌を探るプロジェクトの過程で見つかったという。
「身の回りの世界には、私たちが理解していないことがたくさんあります。身近なものに思えるものでさえも」と語るのは、研究チームを率いるErica Hartmann氏。私たちが日常的に触れる歯ブラシやシャワーヘッドに住むウイルスたちは、まさにミクロの世界におけるフロンティアだという。
細菌キラー「ファージ」の可能性
「Gizmodo」によると、発見されたウイルスは「バクテリオファージ」と呼ばれるグループに属し、細菌に感染して破壊する能力を持つらしい。注目すべきは、近年問題視されている抗生物質耐性菌への効果だ。
「薬が効かない……」そんな医療現場の危機を救う切り札として、ファージを使った治療法の研究が進められているが、今回の研究では、ハンセン病や結核の原因となるマイコバクテリアに感染するファージも発見された。これらの感染症は、いまだ多くの患者を苦しめている。もしファージを用いた治療法が確立されれば、医療の世界に革命が起きるかもしれない。
パーソナルヘルスの鍵は、
マイクロバイオーム?
「次の画期的な抗生物質は、あなたの歯ブラシから生まれるかもしれません」とHartmann氏。今回の発見は、私たちの身近に未知なる微生物の世界が広がっていること、そして、その中には人類にとって有益な可能性を秘めた存在がいることを示唆している。
近年、美容や健康の分野において「マイクロバイオーム」という言葉を耳にする機会が増えた人も多いのではないだろうか。マイクロバイオームとは、生態系のあらゆる環境中に生息する微生物の集合体のことを指す。最新の研究では、マイクロバイオームが私たちの健康状態や免疫力、さらには精神状態にも影響を与える可能性が示唆されている。
歯ブラシやシャワーヘッドから発見されたファージも、私たちのマイクロバイオームの一部と言えるだろう。もしかしたら、あなたのマイクロバイオームにも、世界を変えるような未知の力が眠っているかもしれない。
👀 GenZ's Eye 👀
一見、「歯ブラシに潜む600種類のウイルス!?汚そう……」と思ってしまった自分を戒めたいです。人間の体に生息する微生物が、結果的に我々を助けることになるかもしれない──、ロマンがありますね。ミクロ世界の発展を、心待ちにしたいです。