クレオパトラも愛用?「赤リップ」に秘められた、セルフラブの歴史

メイクアップの定番アイテムとして認識されている「赤リップ」。ひと塗りで自信や華やかさをプラスしてくれる赤リップは、多くの女性を魅了してやまない。

しかし、その歴史を紐解くと、単なるメイクアップの枠を超え、女性の権利自由、そして自己表現の象徴として、時代と共に歩んできたことがわかる。

クレオパトラも見惚れちゃう!?
赤リップ誕生秘話

CNNの動画記事「The history of red lipstick」によると、

赤リップの歴史は古代エジプト文明まで遡ると伝えるのは、「The history of red lipstick」と題したCNNの記事。クレオパトラも愛用していたとされ、当時、砕いた昆虫や酸化鉄など、自然由来の顔料から作られていたという。高価な染料だったため、権力や富の象徴として、貴族階級の女性たちの間で広まっていったようだ。

「禁断の色」から「自由の象徴」へ

中世ヨーロッパでは、教会が赤リップを「悪魔の色」と禁じていた時代もあった。赤い唇は娼婦のものとされ、一般女性が口にすることは許されなかったという。

しかし、20世紀初頭になると、赤リップは女性の権利拡大を求める運動「女性参政権運動」のシンボルとして再び脚光を浴びるように。1910年代、アメリカやイギリスでは、女性たちが権利獲得のために街頭に立ち、その唇には「自由」や「平等」の象徴として、赤リップが塗られていたそうだ。

「赤リップは、単なるメイクアップではなく、女性たちの連帯感と抵抗のシンボルでした」と語るのは、歴史学者Madeleine Marsh氏。当時、赤リップは社会的なメッセージを発信するツールとしても重要な役割を担うことに。

銀幕のスターも愛した
“時代”を彩るアイコン

1920年代に入ると、アメリカでは禁酒法や女性の社会進出を背景に、自由奔放で華やかなフラッパー・スタイルが流行。映画女優たちがスクリーンで纏う、セクシーで挑発的な赤リップは、多くの女性の憧れの的となった。

その後も、マリリン・モンローやオードリー・ヘップバーンなど、時代を象徴する女優たちが、それぞれの魅力を引き出すアイテムとして赤リップを取り入れ、その人気は不動のものになっていく。

多様化する現代社会における
「赤リップ」の在りかた

現代においても、赤リップの人気は衰えることを知らない。SNS上では、様々なブランドや質感の赤リップが紹介され、パーソナルカラー診断などを通して、自分に似合う「赤」を探す人が増えている。

ジェンダーレスな社会を象徴するアイテムとしても注目を集める赤リップ。もはや特定のイメージに縛られることなく、個性を表現する自由なツールへと進化を遂げていると言えるのではないだろうか。

鏡の中のあなたを解放する、“魔法”の色

古代エジプトから現代まで、時代を超えて愛される赤リップ。かつては権力の象徴、社会規範への反逆、あるいはセクシーさの象徴として……時代の変化に翻弄されながらも、常に女性たちの自己表現を彩ってきた。そして、現代社会においては、一人ひとりの「セルフラブ」を表現する多様な価値観を反映する鏡のような存在と言えるのかもしれない。

👀 GenZ's Eye 👀

赤いリップ、筆者も大好きですが、まさかこんな歴史があるとは......。赤は顔をパッと華やかに見せてくれるので、歴史のなかで女性の強さの象徴として扱われてきたことにも頷けますね。

Top image: © iStock.com/puhhha
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