甘い誘惑と罪悪感の境界線。デザートは本当に「悪」なのか?

「ダイエットは明日から」が口癖。華奢なモデル体型に憧れつつも、現実ではコンビニスイーツを我慢できずに自己嫌悪……。そんな経験に心当たりはありませんか?

知らず知らずのうちに、痩せていること=美しいという価値観に囚われ、ある種の“食の呪い”にかけられているのかもしれません。

「一般体型」は存在しない?
数字が突きつける残酷な現実

米メディア「USA Today」の見解をもとに、現代社会に蔓延する「食とダイエット」の複雑な関係について考察してみたいと思います。

アメリカ人女性の平均ウエストサイズは38インチ以上。これは「米国疾病対策センター(CDC) 」が発表したデータですが、実際ファッション誌や広告を飾るモデルたちの多くは、この数値を大きく下回る体型であることは言わずもがな。この事実は、「一般体型」という言葉自体が虚構に過ぎないかもしれないという現実を私たちに突きつけているのではないでしょうか。

そんななか、拒食症の経験をもつロクサーヌ・ゲイ氏の著書『Hunger: A Memoir of (My) Body』では、現代社会における「痩せ型至上主義」の根深さを浮き彫りにしています。

氏いわく、「女の子は、華奢で小さくなければいけないと教えられてきた。スペースを取ってはいけない。目立ってはいけない。もし見られるとしたら、男性にとって魅力的で、社会に受け入れられる姿でなければならない」と。

無意識の刷り込み
デザートと「性的魅力」の関係性

ダイエット中は甘いものを我慢しようと決意した矢先、テレビから流れてくるのは美味しそうなスイーツのCM。「食べたいけど、我慢しなきゃ…」そんな葛藤を抱えるあなたは、まさに広告戦略の思う壺かもしれません。

近年、アメリカではデザートと「性的魅力」を結びつける広告表現が問題視されているのをご存知でしょうか。チョコレートやハンバーガーの広告にスレンダーな女性が登場し、性的魅力を強調した演出が用いられますが、こうした広告表現は「性的魅力を持つためには、痩せていなければならない」というメッセージを、無意識のうちに刷り込まれている可能性も否定できませんよね。

「ありのままの自分を愛そう」というメッセージが叫ばれる現代。画一的な美の基準から解放され、多様な個性を認め合う風潮は着実に広がりを見せています。しかし、本当に大切なのは、「ボディポジティブ」という言葉に安住することではなく、自分自身の価値観で食の自由を謳歌することではないでしょうか。

他人の視線を気にして食欲を抑え込むのではなく、心から「おいしい」と感じられるものを、自分の意志で選択する。それが、真の幸福(この場合は「口福」も)、そして自己実現へと繋がる一歩となるはず。

ということで、まずは目の前の食事を心ゆくまで楽しむことに注力してみてはいかがでしょう。その瞬間、私たちは食の呪いから解放され、より自由で豊かな世界へ足を踏み入れることができるはずです。

👀 GenZ's Eye 👀

理想の体型を目指し食べたいものを我慢する。ただ、それも行きすぎてしまうと……ということは理解できます。甘い誘惑と向き合うとき、私たちは同時に自分自身の価値観や、社会が作り出した「見えない檻」と向き合っているのかもしれない。食は五感を刺激し喜びや幸福感をもたらす、人生を豊かに彩る大切な要素でもあります。「罪悪感」という捉え方ではなく、心を満たすスイーツ。そんな選択ができるといいんですけどね。よーし……ドーナツ食べよっ😋

Top image: © ©iStock.com/Aja Koska
TABI LABO この世界は、もっと広いはずだ。