砂糖の10000倍甘い!ドイツ開発の「X3」が変える食の未来
健康意識の高まりとともに、世界中で食のトレンドは「ヘルシーでおいしい」に移り変わっている。とくに、砂糖は過剰摂取による健康リスクが叫ばれ、多くの企業が代替甘味料の開発にしのぎを削る。
そんななか、ドイツ発のスタートアップが開発した「X3」という、まったく新しい甘味料が注目を集めている。なんでも、砂糖の10,000倍の甘さでありながら、カロリーや血糖値への影響はほぼないという。
次世代甘味料「X3」とは
世界の食と気候に関するニュースメディア「Green Queen」の記事によると、X3はドイツの「フラウンホーファー分子生物学・応用生態学研究所」が開発した、微生物発酵によって生成されるタンパク質由来の甘味料らしい。
従来の植物由来甘味料として、ステビアやラカンカなどが知られているが、独特の苦みや後味が残るのが難点だった。いっぽうX3は、蜂蜜のような自然な甘さが特徴で、カロリーや血糖値に影響を与えないという点で、まさに夢のような甘味料と言える。
鍵は「甘味タンパク質」
アフリカの奇跡の果実が人類を救う?
X3の最大の特徴は、その原料にある。西アフリカ原産の「oubli」と呼ばれる果実から抽出される「ブラゼイン」というタンパク質を利用。 同記事によれば、ブラゼイン自体は砂糖の500~2,000倍もの甘さをもつものらしい。
しかし、ブラゼインは天然の果実から抽出する必要があり、大量生産が難しいという課題があった。そこで、研究チームは微生物発酵技術を用いることで、ブラゼインを人工的に生成することに成功。これにより安定供給が可能となれば、X3の実用化に大きく近づいたと言えるだろう。
ドイツが抱える「甘い悩み」と
未来への挑戦
X3の登場は、食の未来を大きく変える可能性を秘めている。 とくに、世界的に砂糖の過剰摂取による健康被害が深刻化するなか、その影響力は計り知れないだろう。
「Green Queen」はドイツにおける砂糖消費量の多さ、そしてそれに伴う健康問題の深刻さを指摘している。そうした状況を打破するため、ドイツ政府は2018年から「砂糖削減戦略」を推進。 しかし、思うように成果が上がっていないのも事実だ。そこで、X3のような革新的な甘味料への期待が高まっているというわけだ。
ヘルシーでおいしい未来へ
X3は、甘味料としての可能性だけでなく、食とテクノロジーの融合がもたらす未来を示唆する好例と言えるだろう。
近年、培養肉や代替タンパク質など、フードテック分野におけるイノベーションが注目を集めている。 X3の登場は、この流れをさらに加速させ、食の選択肢を大きく広げる可能性を秘めている。テクノロジーの進化によって、私たちが普段口にするものがどのように変化していくのか、これからも目が離せない。