卵焼きが甘いのは・・・?関東と関西の食文化の違い
同じ日本と言えども、関東と関西では食文化に大きな違いがあることはご存知のとおり。食を通して異文化体験ができてしまう。では、その違いってどこにあるかちゃんと答えられますか?
1. 和食の基本「ダシ」が違う!
関東の人が関西に、または関西の人が関東に旅行したときに気がつくのは、うどんや煮物のスープの色の違い。関東が黒っぽい色なのに対して、関西は澄んだ黄金色といった具合。これは主にしょうゆの色の違いが原因です。関東のしょうゆは濃い口、関西のしょうゆは薄口で、文字通り関東のしょうゆに比べて関西の醤油は色味が薄いのが特徴。
また、関東のダシはまったりとした味わいなのに比べて、関西のダシはあっさりとした塩味を感じる。いかがですか?これは関東がカツオでダシをとるのに対して、関西では昆布ダシが基本だからです。ちなみに、カップうどんやカップそばの原材料表示を見ると、関東では「E」、関西では「W」と書いてあります。これはEastとWestのこと。関東と関西ではカップ麺ですらダシを変えており、EとWはその目印なんですよ。
2. 関西人の誇り“粉モン文化“!
関西食文化の代名詞と言えば、お好み焼き、たこ焼きに代表される、いわゆる「粉モン」。これらはスナックとしてだけではなく、普通に食事として一家の食卓に上ります。しかも粉モンと一緒に白ご飯を食べてしまうという炭水化物三昧。
うどんも関西の粉モン文化の一端を担っています。関東でももちろんうどんは食べられますが、関東ではどちらかというとそばの専門店が多いですよね。関西では逆にそば専門店は少なく、うどんの有名店が多いようです。うどんの麺の食感も、関東では柔らかくすぐに噛み切れるのに対して、関西では讃岐うどんに代表されるように、コシがしっかりしている麺が人気です。
3. 卵焼きが甘い関東、しょっぱい関西
もうひとつ大きなところでは、お弁当に入っている卵焼きの味。関東、関西それぞれの駅弁や仕出し弁当などを食べて、「あれ?」と思ったことがある人も多いのでは?
関東の卵焼きは砂糖が入った甘いものが主流。反対に関西の卵焼きは、ダシが利いていてしょっぱいのが基本です。関西の人からすると、「甘い卵焼きなんてお弁当のおかずとしてありえへん!」 らしいのですが、関東の人は「それが箸休めになっていい」のだとか。
4. 大定番のアレやコレの形が違う!
関東と関西では、身近な食べ物の形が違います。まずは「おにぎり」。関東ではコンビニなどで見かける三角形が主流です。三角おにぎりは現在全国的に見られますが、関西では元々「俵むすび」と言って、俵型に握った「おむすび」が主流でした。
これは江戸時代、武士の移動に便利な三角形のおにぎりが重宝された江戸に対して、上方と呼ばれていた関西では、商人の観劇や行楽などの際、弁当に収まりやすい俵型が好まれたためと言われています。
現在でも、スーパーなどのお弁当で関東では平たく白ご飯が盛られているのに対して、関西では俵型に区切った形にしているのを見かけます。注意して見てみると面白いですよ。
反対にいなり寿司の形は、関東では俵型、関西では三角形になります。また、関西ではお揚げの中に五目ちらし寿司を詰めることがあります。
5. お正月に欠かせない「お雑煮」だって別物
お正月に欠かせない「お雑煮」。関東と関西では見た目も味もまったく違って、まるで別の料理のよう。関東では四角い切り餅を焼いてから、しょうゆ味のスープで煮るのが一般的。一方関西では、丸餅を焼かずに味噌味で煮て食べます。味噌は白みそを使用することが多いようですね。
こういった違いは江戸時代から見られ。「四角い切り餅の方が早くたくさん作れていいよね」という合理的な江戸文化と、「でも丸餅の方が縁起がいいやん(「円満」のイメージから)」という感覚重視の上方文化が現れていますね。
関西の人と結婚した関東の人、またはその反対のケースでも、初めて年末年始にお互いの実家に帰ってお雑煮を出されたとき、そのあまりの違いに絶句するのだとか。縁起ものだし食べないのは失礼、でも異質すぎて箸が進まない・・・という苦しい経験の話を聞くと、関東と関西の食文化の違い、ここに極まれり、といった感があります。
関東で生まれ育った人、関西で生まれ育った人はそれぞれ、日常的にお互いの食文化の違いを実感することは少ないのではないでしょうか。でもお互いの地域に旅行した際にちょっと気にかけてみたり、同僚などで出身地が自分と違う人の話を聞いてみると、きっと面白い経験ができるでしょう。