関東風? 関西風? 浜松の老舗「うなぎ藤田」で、食感と香ばしさにやられる

「うなぎの聖地」と言われる浜松には、いわゆる関東風と関西風のお店がちょうど半分ずつあるそうです。

そのなかでも明治25年(1892年)に浜名湖産うなぎの行商から始まった「うなぎ藤田」は、長い歴史で培った関東風のフワっと感に、独自の香ばしさと歯ざわりが楽しめる、なんとも贅沢なうな重が食べられるお店なのです。

とくに、食感へのこだわりには驚きました。

活かし込み、素焼き、蒸し、
たれ焼き、の4ステップ

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©2018 TABI LABO

「うなぎ藤田」のうなぎは、すべて国内産。外国産と比べて臭みが少ないのが特徴ですが、さらにその臭みを取るべく「活かし込み」という行程を経ているそうです。

「約1週間、えさを与えずに、地下115メートルから汲み上げた冷たくて澄んだ水のなかで泳がせるんです。臭みがなくなるだけでなく、身が締まって弾力のある歯ごたえになるんです」

と、4代目の代表を継いでいる藤田将徳さん。ただし、これは長い歴史を持つ「うなぎ藤田」だからこそできるワザ。1週間もエサをやらなければ、普通は身が細くなってしまうだけなんだとか。

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©2018 TABI LABO
店の入り口には、その日の産地を明記した「活鰻出荷証明書」を掲示

「うなぎ藤田」は、背中を開いて調理する関東風。まず素焼きしたあと、じっくりと蒸します。この時間が他店よりも長いため、一度「活かし込み」で引き締まった身も、柔らかくふっくらと仕上がります。余分な脂も落ちるので、さっぱりとヘルシーになるのもポイント。

最後は、3回繰り返す「たれ焼き」。このとき、焦げを強めに焼くことで、「うなぎ藤田」独自の香ばしさと、ひと口目のパリッとした食感に繋げているそうです。

これはもはや、関東風ではなくて「浜松風」!?

50年以上継ぎ足しの「たれ」は
「寝かし」で変わる

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©2018 TABI LABO

香ばしさの秘訣は、なんといっても「たれ」。昭和39年(1964年)、先代が兄弟とともに東京都日野市に開業した「うなぎ藤田」の頃から継ぎ足しを重ね、そのたれ甕(がめ)はこの浜松にも引き継がれました。

「タレは関東風のあっさりめですが、お客さんのなかには『藤田さんのは香ばしいから好き』と言っていただく方も多いですね」

4代目の藤田さんは、最後にもうひと手間加えることで、このたれを唯一無二のものへと仕上げました(これはさすがに企業秘密とのこと)。

「職人からは『手間がかかりすぎる』と反対されましたけどね(笑)。でも実際にそのたれを目隠しで味見してみると、やっぱり違うんです。確実においしくなるんだから、最後は納得してくれましたよ」

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©2018 TABI LABO

新しいたれを継ぎ足した直後は、どうしても甕のなかで新旧が馴染まない。そのため、お店には甕が2つあり、新しいほうは丸一日 “寝かす” そうです。

「お客さまにはほとんどわからない違いですけど、それでもやはり譲れないところです」

浜松駅前や
東京の白金台でも

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©2018 TABI LABO

本店は、浜松市街から車で約20分。中心地からはちょっと離れていますが、地元の家族連れなどに愛されています。

「2代、3代と長く来てくれるお客様も多いので、駅から遠くても『同じところに同じ味がある』ということが大切だと考えています」

しかし、東京など静岡県外からのお客さんも多く、現在は浜松駅前店と白金台店(東京)を展開。浜松駅前店は出張中のビジネスマンや地元の商談の場として、白金台店は「東京でも『うなぎ藤田』の味が楽しめる」と、どちらも喜ばれているそうです。

僕としてはアクセスだけが気がかりだったので、駅前店も白金台店もさっそく「行ってみるリスト」に加えました。

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大型バスの駐車場完備で、50〜60人の会食ができるお座敷もあり
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©2018 TABI LABO
テーブル席では、庭の景色の風情を楽しめます

「うなぎ藤田」

 

【うなぎ藤田 本店】
住所:静岡県浜松市中区小豆餅3-21-12
TEL:053-438-1515
営業時間:11:30~14:00、17:00~21:00
定休日:木曜日(祝日の場合は水曜日 ※木曜は営業)

 

【うなぎ藤田 浜松駅前店】
住所:静岡県浜松市中区砂山町322-7 ホテルリソッツ浜松2F
TEL:053-452-3232
営業時間:11:00~14:00、17:00~21:00
定休日:火曜日

 

【うなぎ藤田 白金台店】
住所:東京都港区白金台4-19-21
TEL:03-6432-5636
営業時間:11:30~14:00、17:00~21:00
定休日:月曜日

Top photo: © TABI LABO
取材協力:浜松市
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