浜松での「ファームステイ」は、都市と田舎を行き交う体験だった
農泊と聞くと、ついデジタルデトックスして、山奥でおじいさんおばあさんと農作業! といったイメージになりがちですが、必ずしもそれだけじゃありません。
2018年2月に立ち上がった「日本ファームステイ協会」によれば、農場滞在だけに限らず、もっと幅広く「田舎に滞在する旅行」という意味で地方を活性化していきたいそうです。
訪日外国人の長期滞在なども増やしていきたいという狙いがあり、ファームステイを英語表記するときはカントリーサイドステイ(Countryside Stay)と言っていて、もう少し広い意味で「日本の地方に来てね」という意味になっているそうです。
街なかも知ってもらう
新しい「ファームステイ」
都市機能もあり、のどかなイメージの「ファームステイ」からは一見縁遠い街のように見える静岡・浜松市もこの取り組みに積極的で、まだ全国に知られていないポテンシャルを伝えるべく、テスト的に体験ツアーを進めていました。
第1弾として2018年6月に開催された「リアル はま・てなし」では、浜松の土地とヒトの魅力を身近に感じてもらおうと、農村だけではなく、街なかでのグランピングやトマト栽培見学、バーベキューなどをミックスした、新しい「ステイ体験」を提案。
ひとときの思い出づくりではなく
リピーターになってもらうために
たとえば、ツアー参加者60人分の宿泊で使ったキャンプ場も山奥ではなく、JR浜松駅から数駅ほどの街なかにある施設を使うことで、よりリアルな浜松を知ってもらったそうです。
目的は、リピーターになってもらい、さらに浜松のファンになってもらうこと。
生産者に会い
食材の魅力を知る
そして人気のコンテンツのひとつが、その土地の「食材の魅力」を知ってもらうこと。
地元農家では、りんごのように真っ赤になってから完熟収穫するトマト「アップルスター」を見学するなど、都市機能や自然環境だけではない浜松の魅力を体感することに。
無理やり「田舎」を演出しない
リアル・ファームステイ
現在、さまざまな地域が積極的に「ファームステイ」に取り組んでいますが、ほかの地域との差別化がなかなか難しかったり、利用者が求めているものとズレがあって満足度が上がらなかったりと、課題が多いという話もよく聞きます。
今回、浜松市が行なったのは、強引な田舎への誘い込みではなく「私たちのまちは、都市と田舎を行き交うライフスタイルが実現できます」という、ありのままを感じてもらう飾りっ気のないもの。
そこにあるリアルが知りたい、というのが利用者の想いだとすれば、本当にそのまちが持っている価値を素直に体験してもらう——それがファームステイの本質なのかもしれませんね。
トークイベントやディスカッションも好評だったこちらのイベント、次回は2018年秋に開催予定とのことです。