SLやトーマスだけじゃなかった、静岡「大井川鐵道」の魅力

「大鐵(だいてつ)」の愛称で愛される大井川鐵道は、静岡県島田市の金谷駅から千頭駅を結ぶ大井川本線と、千頭駅から井川駅を結ぶ井川線を運行するローカル鉄道。

新金谷駅と千頭駅の間を走るSLやきかんしゃトーマス号・ジェームス号が有名ですね。

だけど、当然かもしれませんが、大鐵の魅力はそれだけではなかったのです。

大事にしているのは
フレンドリーな鉄道会社

©2018 大井川鐵道

「お客さんから『大鐵の社員の人たちってフレンドリーだよね』って言ってもらえることが増えていると思います」

取材を担当していただいた管理部の徳丸茜さんも終始ニコニコだったんですけど、そんな社風を活かしてか、大鐵は2015年9月に「総合交通サービス業への転換」を宣言しました。ただの鉄道ビジネスだけではなく、鉄道を通じたサービスに力を入れていく、と。

出発時に駅員が手を振ってくれたり、グッズの開発や販売に力を入れたりと、SLやトーマスをただ楽しむだけじゃありません。行けばほっこりした気分になるサービスや、思わず二度見してしまうようなネタ系お土産など、忘れられない思い出をたくさん持って帰ることができます。

大鐵は
観光収入が97%!?

©2018 TABI LABO
© 2018 Gullane [Thomas] Limited.

シーズンごとの様々なイベントやキャンペーンが楽しいのも、大鐵人気の秘密。

たとえばSLとアプト式列車(日本で唯一)の両方を楽しめる「探検!? ミステリートンネルハイク」や、お座敷・展望客車に乗って生ビールやサワーが飲み放題になる「納涼 生ビール列車」など、季節によって仕掛けがあります。

過去には、川根本町くのわき縁結び婚活部という団体が主宰した、25歳~50代の未婚者が参加できる「くのわき縁結び婚活ツアー」というイベントに協力したことも。

©2018 TABI LABO

また、他にも外せないのがお土産です。

『私の人生はワンマン運転を行っております』。そんな自虐コピーが切なくも微笑ましい缶バッジが少し前に話題になりましたね。

他にも、ティッシュケースブランド「tente」ときかんしゃトーマス、そして大鐵によるトリプルコラボティッシュケースは、子どもを連れたママさんたちに大人気だとか。

新金谷駅前にある「プラザロコ」でしか買えないお土産などもあり、SLから見る風景同様、これらのお土産も旅でしか味わえないものなんです。

©2018 大井川鐵道
©2018 TABI LABO

キャンペーンやお土産開発は、それぞれ企画部と商事部が担当しているそうです。

企画部は5人、商事部は8人。みなさん公私ともに鉄道大好き人間なのかと思いきや、熱心な鉄道マニアは各部署とも半分もいないくらいとのこと。しかしだからこそ、鉄道ファンのマニアックな目線と、観光目的のお客さんとの絶妙なポイントを探り当てることができるのかもしれませんね。ちなみに2018年7月には、大鐵の新しい鉄道むすめ「家山かなか」も発表されました。

「観光収入が97%で、定期運行収入は3%くらいなんですよ」

という徳丸さんの話に最初は驚きましたが、話を聞き進めていくうちに、なるほどと納得してしまったくらいです(笑)。

途中下車こそ
大井川本線の醍醐味

©2018 大井川鐵道

大井川鐵道本社がある島田市に行くと、飲食店や駅前のレンタカーショップなど、様々な場所にSLやトーマスの写真が飾られています。「島田市緑茶化計画」というプロジェクトもあるほど緑豊かな自然や踏切のある風景を走る姿は、それほど多くの人を魅了しているのでしょうね。

こうした大井川本線沿線全体の空気感も、大鐵が多くのファンを惹きつける理由なのかもしれません。

また、沿線にも楽しいスポットがたくさんあるので、ぜひ途中下車しながらの旅を。たとえば「川根温泉笹間度駅」にはカフェが併設していたり、日本で唯一SLが見える露天風呂があることでも人気です。

他にも「神尾駅」のホーム横には信楽焼のたぬきが並ぶ「たぬき村」があったりと、つい立ち寄って写真を撮りたくなるような駅が多いんです。

©2018 大井川鐵道
川根温泉笹間渡には、駅舎カフェ「ひぐらし」がある

懐かしい景色を楽しむ
「時間旅行」

©2018 大井川鐵道

SLもいいけれど、普通電車にも違った魅力がある。

「大鐵の普通電車は、全国の私鉄を引退した車両を使っています。先日も関西から来られたお客さまが南海電鉄の21000系の電車を見て懐かしんでいましたね」

と、徳丸さん。

かくいう僕も大阪出身で、近鉄の車両(16000系)を新金谷駅で見たときは嬉しくなっちゃいました。そう、大鐵は普通電車でも「時間旅行」が楽しめる贅沢な鉄道。

きっと温かい気持ちで鉄道旅を楽しめますよ。

©2018 TABI LABO
大井川本線「新金谷駅」の2階が大鐵の本社になっている

「大井川鐵道」

住所:静岡県島田市金谷東2-1112-2(本社)
TEL:0547-45-4112(SLの予約・運行)、0547-45-2230(お土産)
営業時間:9:00~17:00(各問合せ窓口)
公式HP:http://oigawa-railway.co.jp/

Top image: © 大井川鐵道
取材協力:島田市
TABI LABO この世界は、もっと広いはずだ。