チャーハン×お茶。静岡・島田の町中華で見つけた「お茶ーはん」はホッとする味だった
お茶どころであり「島田市緑茶化計画」なるプロモーションにも力を入れている静岡県島田市には、その名の通りお茶にまつわるさまざまなグルメがありますが、ネーミング的にも気になったのが「あんかけ お茶ーはん」。「通りゃんせ」という中華料理屋さんにあるチャーハンです。
食べられる粉末茶を使った炊き込みご飯「お茶飯(おちゃはん)」というものは以前からありましたが、今回見つけたのはチャーハンで、しかも、あんかけ。
どうして、あんかけなのか。やっぱりお茶の緑をきれいに出そうと思ったら、スープに溶かすのがいいみたいなんです。
「あんかけ お茶ーはん」
いただきます!
チャーハンの上にたっぷりと掛かった緑のあんかけ……見た目はインパクトあり!
ところが実際に口に運んでみると、お茶漬けのような風味が広がりつつ、チャーハンの旨味もしっかりと感じられます。街の中華屋さんによくあるギトギト感はあまりなく、お茶あんかけのあっさりとした口当たりが印象的。
見た目とのギャップが楽しいチャーハンでした。
お茶の苦味とのバランスが
ちょうどいい
お茶ーはんの開発をスタートしたのは、2017年12月。
「はじめは抹茶の粉末を入れて炒めたんですけど、そうすると茶色くなってね。次にあんかけに入れてみたら綺麗な緑色になったんで、これはイケると。苦味があるので、あんかけを甘くして、あとはたまごも入れて味を整えています」
と、店主の弓岡正吾さん。
曰く「とくに苦労はなくてね。お客さんの評判も良かったから、1月にはメニューに加えたよ」とのこと。ただし現在も「抹茶の量は試行錯誤中だけどね」。
こだわりがないようで……だけど長年の職人としての腕は確実。こういう店では、マニュアルにはない人情と味つけも一緒にいただくのがイキというもの。
ピリ辛のラーメンをセットにすると
もっとハマる
「あんかけ お茶ーはん」は、ちょっと甘めなので、セットとしてピリ辛の「通りゃんせらーめん」が人気だよ、と弓岡さん。
決して辛すぎず、喉を通ったときにちょっと残る辛さは、夏はスタミナフードとして、冬はポカポカと体を温めるラーメンとして、これまたクセになりそうです。
最初から中華だったわけじゃない
「通りゃんせ」に歴史あり
創業は1980年3月、はじめはお兄さんが経営するお店の2号店として、現在と同じ島田駅前にオープンしたそうです。
「当時、このあたりは都市計画の途中で道が舗装されてなくてね。京風ラーメンやしゃぶしゃぶを提供していたんです。だけど、そうすると近所のお客さんが普段から来られない。そこで、毎日来てもらえるように定食を増やしていって、普通のラーメンとかもやるようになって……徐々に今のお店になっていったんです」
周辺が未舗装路だった頃から、島田駅周辺の住民やビジネスマンの胃袋を掴んできた「通りゃんせ」。
お客さんや地元の声によってメニューを変えてきた柔軟性こそが、大きな魅力なのかもしれません。そしてその集大成が、中華料理とお茶の素敵なコラボ「あんかけ お茶ーはん」なのですね。
島田のローカルに根付いた
「街中華」
食べて欲しいのは「あんかけ お茶ーはん」だけではありません。
定食とラーメンを中心に、豊富なメニューを揃えるのが「通りゃんせ」。ちなみに人気ナンバー1はしっかりとした味付けが男性陣を唸らせる「焼肉定食」と「焼肉丼」。さきほど紹介した「通りゃんせらーめん」はラーメンの中では人気ナンバー1だそうです。
で、気になったのが卓上にある「とんかつソース」。たしかメニューにとんかつはなかったような……。
「焼豚にソースを掛けたいというお客さんがけっこういてね。それで置いとるんよ」
いやいや、それじゃあ、せっかくの味つけが台無しでは?
「そんなのはどうでも良くて、お客さんが好きなように食べてもらえたら、僕はそれでいい」
うーん、こだわりがないようで……やっぱりあると、僕は見ました! それは「お客さんが満足してくれること」。
そんな当たり前のようでなかなかできない深いこだわりを、島田駅前の中華料理屋さんで見つけることができました。周りにはチェーン居酒屋のランチもあるけど、「通りゃんせ」の暖簾をくぐるのが正解だと思いますよ。
「通りゃんせ」
住所:静岡県島田市日之出町1-14
TEL:0547-36-1966
営業時間:11:30~14:00、17:00~20:00
定休日:水曜日