「便利だから寄る」から「行きたいから行く」へ。ファミマが描くコンビニの次の景色
2026年7月10日、東京・麻布台にオープンしたのはファミリーマート初の旗艦店「FAMIMA PARK AZABUDAI」。その空間を手がけたのは、UNIQLO旗艦店などで知られるWonderwall®。コンビニに試着室や屋上の森がある——そんな話、気になりませんか。
屋上に森、店内に試着室
「便利」だけじゃ、もう物足りない


コンビニは「便利だから寄る場所」。おそらく多くの人が、そう疑いもなく思っているはずです。
でも、デザイナーの片山正通氏はこう語っています。「便利だから立ち寄る場所ではなく、この場所に行きたいと思える魅力とユニークネスを徹底的に磨き上げています」と。
同旗艦店には、コンビニエンスウェア初の試着室が設けられています。ショップインショップ形式で、まるでアパレルショップのような空間。「間に合わせで買う服」から「選んで着たい服」への転換を、空間の力で後押ししているわけです。
屋上には“森”がしつらえられ、店舗横のFAMIMA STANDではコーヒーを片手に屋外のベンチでくつろげる。買い物が終わっても、まだそこにいたくなる。そんなコンビニ、これまであったでしょうか。
たった一言で、イートインは
「居場所」になった
Wonderwall®が掲げた8つのコンセプトの中で、個人的にもっとも心を掴まれたのが「イートインじゃなくカフェ。」というステートメントです。
ファサードのガラス面に沿ったカフェカウンターは、街の風景と店内をゆるやかにつないでいます。やっていることは「店内で食べられる席がある」という点で従来のイートインと同じかもしれません。けれど「カフェ」と名づけた瞬間、座る人の気持ちも、過ごす時間の質感も変わる気がしてなりません。
このプロジェクトは、ファミリーマートとクリエイティブ・ディレクターNIGO®が共創する「Next FamilyMart Project」の一環。合理性を壊すのではなく、その上に「発見」や「滞在」のレイヤーを重ねる——そんな拡張型のアプローチが貫かれています。
目的地になるコンビニが
街を少し変えていく

日本のコンビニは約5万6,000店。私たちは週に何度もその扉を開けながら、空間そのものを意識することはほとんどありません。
だからこそ、コンビニが「目的地」になるという提案は、日常の風景がまだ書き換えられる余地を持っていることの証明なのかもしれません。毎日通るあの角のコンビニを、明日はほんの少しだけ違う目で見てしまう——そんな小さな変化が、この旗艦店の本当の「設計」な気がしています。






