推しグッズを「溶接」で作る。79年続く鉄工所が始めた新しい推し活

推し活グッズといえば、アクリルスタンドや缶バッジ、レジンのキーホルダー。軽くて、かわいくて、量産できるものが定番です。

そこに「鉄を溶接して作る」という、まったく別の選択肢が現れました。しかも場所は、静岡県沼津市で79年続く鉄工所です。

「鉄工所だからこそできる推し活」は
社員の雑談から生まれた

影山鉄工所の溶接マスクと作業着姿の2人が壁のロゴの前でポーズを取っている
© 株式会社影山鉄工所

株式会社影山鉄工所が運営する溶接体験工房「アイアンプラネットベースオブ沼津」が、2026年8月に正式スタートさせたのが「イニシャルストラップ製作体験」。

参加者は本物の溶接機を手に取り、火花を散らしながら鉄のパーツをつなぎ合わせて、推しのイニシャル入りストラップを作ります。

アルファベットのほかに、ハートや星、富士山、肉球など約60種類のパーツを自由に組み合わせられるのもポイント。仕上げに推しカラーで色を塗れば、ライブ用バッグにぶら下げられる「世界にひとつの鉄グッズ」が完成します。

面白いのは、この企画の出発点。社内にも推し活を楽しむ社員が多く、「推しグッズを自分で作れたら面白そう」「鉄工所だからこそできる推し活ってないかな」という雑談がきっかけだったそうです。

産業用の技術や設備を、まったく別の文脈に開放する。その発想が社員の日常会話から出てきたというのが、なんとも軽やかです。

「重さ」が持つ感情の説得力

完成したイニシャルストラップの数々。鉄板を切り抜いたアルファベットやハート・サッカーボールにラインストーンや塗装を施したキーホルダー
© 株式会社影山鉄工所

推し活グッズの主流素材であるアクリルやレジンには、「軽さ・透明感・手軽さ」という共通点があります。大量に持ち歩けるし、気軽に交換もできる。

でも、鉄はその真逆です。重くて、無骨で、簡単には壊れない。

だからこそ、手のひらに乗せたときの「ずしっ」とした感触や、自分で火花を散らして接合した記憶が、推しへの気持ちをちょっと特別なかたちで物質化してくれるのではないでしょうか。

「買う」でも「軽い素材で手作りする」でもない、第三の選択肢。それが「溶接して作る」です。

鉄が「身近」になる入口として

ラインストーンで飾られた『KZH』のイニシャルと蝙蝠の羽モチーフのストラップが、実際にトートバッグに取り付けられている様子
© 株式会社影山鉄工所

影山鉄工所が掲げるコンセプトは「鉄をもっと身近に、もっと楽しく。」。

ものづくりや溶接に縁がなかった人が、推しへの愛情を入口にして鉄に触れる——その体験設計がうまいなと感じます。

沼津は東京から新幹線で約1時間の日帰り圏。ライブ遠征のついでに寄れる距離感も、推し活との相性がいい。

好きなものを「買う」時代から「自分の手で作る」時代へ。その先に「産業の技術で作る」という回路が開かれたことが、この体験の一番の面白さかもしれません。

イニシャルストラップ製作体験

【場所】アイアンプラネットベースオブ沼津(静岡県沼津市西間門28-3)
【所要時間】約1時間以内
【対象】小学3年生以上
【費用】税込1,000円(1パーツ+ストラップ)、追加パーツ1点につき+500円
【予約】完全予約制/アイアンプラネット公式サイトにて受付
【持ち帰り】当日可能

Top image: © 株式会社影山鉄工所
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