ミニマリストに学ぶ、モノを捨てる「15のコツ」

誰もが適切な量ではなく、「自分の価値を損なう」までにモノを増やしてしまっている。そんなモノとは1度距離を取ってみたほうがいい。モノを持たなくて済む、社会の準備はすでに整っている。ここでは自著『ぼくたちに、もうモノは必要ない。』から、モノを捨てるための15の方法を紹介する。モノを捨てるために、特別な決心をする必要はない。

01.
「捨てられない」という
思い込みを捨てる

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捨てられない「性格」というのは存在しない。ただ自分で「捨てられない」と思い込んでいるだけだ。どうして捨てられないかを明確に意識できれば、そのうち捨てられるようになる。捨てられないタイプも、捨てられない性格もない。単に「捨てる技術」が未熟なだけだ。単に「捨てる習慣」が身についておらず、「捨てない習慣」を身につけてしまっているだけだ。必要なのは、捨てるための技術と習慣だ。

02.
まずは、明らかな
「ゴミ」から捨ててみる

捨てる習慣をつけるために、小さい目標を達成していき、「捨てられた」達成感を少しずつ積み重ねていこう。小さな達成感を重ねていけば、いずれ大きなことを達成できるようになっていく。

まずは誰の目から見ても「ゴミ」を捨てることから始めよう。空き缶、空の弁当箱が散乱していれば捨てよう。破れた服を捨てよう。壊れたままの家電は捨てよう。

03.
複数あるモノは捨てる

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簡単に捨てやすいのは複数あるモノだ。モノは用途ごとに1つあればいい。なぜかハサミが家に2つも3つもないだろうか?使っていないボールペンが5本も、6本も、めったに使わない筆ペンが2本とかないだろうか?

ハサミを3つ持っているなら、いきなり1つにせず、1本捨てるだけでもいい。まずはお気に入りでないモノ、使ってないモノ、機能が劣っているものを捨てよう。

04.
1年使わなかった
モノは捨てる

使っていないモノは捨てる。これはモノを減らすための鉄則だ。そして使う予定のないモノも捨てよう。今年の冬、必ず使う毛布は捨てる必要はない。毎年着ているダウンジャケットも捨てる必要はない。だが1年の四季を通じて使わなかったモノは、今後も必要がないモノだ。災害に備えるものは別にして、1年使っていないものは来年も再来年も必要ない。3年に1度使うモノなどレンタルしよう。

05.
人の目線のためにあるモノは
捨てる

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人は「自分の価値」をモノを通して伝えようとする。だから「これは本当に自分が好きで持っているモノだろうか?」「モノを通して自分の価値を伝えたいために持っているモノだろうか?」と1度内省してみることはとても有効だ。

車や腕時計や万年筆で固めたダンディな自分。そんな風に誰もが少しずつ背伸びをする。モノの維持、管理に消耗せず、きちんと使っていて、使うことで喜びを感じさせるモノが自分の好きなモノだ。ただ人の目線を気にしたモノは手放そう。

06.
捨てづらいモノは
写真に撮って捨てる

ぼくは捨てられなくメソメソしてしまうので、今でも捨てるモノはよく写真に撮っている。この間は「爪切り」を写真に撮って捨てた。……見返すのかな、自分?

捨てるのが難しいのは、モノそのものの価値ではなく、モノにまつわる思い出だ。モノを捨てることと、モノにまつわる思い出を捨てることはまったく別のこと。捨てづらいモノは写真にとれば捨てやすくなる。

07.
「収納」「片付け」
という発想を捨てる

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デッドスペースを有効活用し、散らばったモノを整理整頓して片付け、収納を作る。外に出ているモノをどこかに押し込める。それでは時間がたったり、忙しくなってくれば、自然に元通りの状態になってしまうだけだ。収納や片付け術に頼っている限りは、よほどマメな人でないかぎり、このサイクルの繰り返しになる。

まずはモノの絶対数を減らすのが先決だ。モノの数が減れば「散らかる」こと自体が減っていく。モノのない部屋では「散らかる」という概念自体がなくなる。

08.
デッドスペースを
埋めたい気持ちを捨てる

何も置いていない空間を無駄な「死んだ」空間と捉え、その空間を埋めていく。あらゆるスペースに突っ張り棒を仕込み、フックをぶら下げ、収納を増やそうとする。これではいつまでたっても快適な生活は手に入れられない。いずれ収納からあふれ出るから。

満員電車が息苦しいように、押し込まれたモノたちは見ていてとても息苦しい。何もない空いた空間こそが、落ち着いた気持ちにさせてくれる。「死んだ」スペースこそが、活き活きとした気持ちを生み出す。

09.
自分のクリエイティビティも
捨てる

モノを捨てようとするとき、人は驚くほどのアイディアマンになる。

「素敵だけど、使ってないこの香水瓶は捨てよう。……なんか降りてきた!(いつか時間ができたら)東急ハンズで配線を買って、この瓶を素敵な照明に生まれ変わらせよう!」

たぶん、永遠にこの照明は完成しない。モノを捨てるということから逃れたいがために、無理矢理に生み出されたアイディアだ。どんなアイディアが出ても、信用してはいけない。

10.
「元を取る」という発想を捨てる

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捨てるときに「もったいない」と思ってしまう大きな理由のひとつはそれが「高かったから」ということだ。高かったのにまだ元を取っていない!と心のどこかで感じてしまうのが原因だ。だけど、実際は今後も、元を取れる可能性は極端に少ない。

「元を取る」という発想は捨てて、損は損として早く手放したほうが、お財布のためにも、穏やかな気持ちを保つためにも結局は具合がいい。

11.
値段にこだわる
気持ちを捨てる

ぼくが42型のプラズマテレビを買ったとき、そのときの価格は8万円くらいだった。それが売った価格は1万8千円。ホームシアターは4万円で買い、売るときは5千円だった。正直に言って、もう少し高くなると思っていた。

ほとんどのモノの価値は買ったときの値段から毎日下がり続ける。自分が持っているモノは高く見積もってしまいがちだ。「自分バイアス」を外すと、モノはもっと手放しやすくなる。

12.
店で買えるものは
捨てる

四角大輔さんの著作で紹介されていた「店を倉庫だと考える」発想はストックを減らすのに大変役立つアイディアだ。お店はあなたがモノを必要とするときのために、わざわざ在庫を置く場所を確保し、丁寧に管理してくれている倉庫。モノを「買う」のではなく、必要になったら倉庫に「取りに行く」という発想だ。こんな便利な倉庫がたくさんあるのに、わざわざ家に倉庫は作らなくていい。

13.
熱く語れないモノは
捨てる

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モノ好きであればあるほど、ブランドの背景やモノが生まれた歴史について詳しくなる。本当にいいモノにはロマンがあり、情熱が注ぎ込まれて開発されたモノにはストーリーがある。熱く語れるということは、迷いながらも明確にそれを選んだ「理由」があるということ。他のモノじゃなくそれじゃなきゃダメ、という理由がしっかりあるのだ。

14.
モノの「連鎖」の大元から
捨てる

パソコンを買えばパソコンラック、プリンター、スキャナ、USBメモリ、外付けHDD、ワープロソフト、クリーナーなどモノは際限なく増えていく。モノはモノを呼んでくるのだ。

逆に言えば、大元を断てばたくさんのモノが一気に捨てられる。テレビを手放したとき、すべての機器とそれをつなぐケーブル類も電源タップごと手放せた。勇気を出して大物を狙えば、その報酬も大きい。

15.
1つ買ったら1つは
捨てる

これは王道のルール。何か買いたいと思うなら、まず1つ捨ててから。

モノを減らす過程でも、新たに必要なモノは出てくる。モノが多すぎる場合には、1つ買ったら2つ減らしたり、3つ減らしたりするところから始めるのがいい。そして1着服を買ったら1着服を手放す、というように同じジャンルのモノで数を調整するのが原則。消しゴムを1つ捨てたので、電子レンジを1台買いますね、では割に合わない。

ぼくたちに、もうモノは必要ない。
コンテンツ提供元:ワニブックス

佐々木典士/Fumio Sasaki

ワニブックスに勤務。すべてを保存し、何も捨てられない汚部屋出身。2010年ごろから身の周りのモノを手放し始める。2014年クリエイティブディレクターの沼畑直樹とともに、ミニマリズムについて記すサイト「ミニマル&イズムless is future」を開設。

TABI LABO この世界は、もっと広いはずだ。