自閉症の子どものために、サンタがとった素敵な行動。
閉店後のノースカロライナ州のショッピングモールで、自閉症の子どもを持つ家族向けの、サンタ記念撮影会が“ひっそり”と開催されました。
多くの人が行き交う場所、喧騒、ネオンなどなど。自閉症の子にとっての障がいとなる要素を出来る限り取り除いてはいても、ストレスを感じてしまう子どもがいました。すると、サンタはある行動に出たのです。
閉店後のモールで
“ひっそり”特別な撮影会
“ひっそり”特別な撮影会
6歳のBrayden Deelyくんが、お母さんに連れられてショッピングモールにやってきました。目の前には、天井まで届きそうなもみの木と、大きなプレゼントの箱。それらに囲まれるようにして、ベルベット地の大きなソファに腰掛ける、白髭のサンタ。
自閉症の子どもたちを支援する「Autism Speaks」では、彼らの個性に合わせて、落ち着いた環境でサンタと記念撮影をしてもらおうと、閉店後のモールで「Caring Santa」というイベントを開催しています。
アメリカでは、クリスマスカードを送る習慣から、こうした大型施設の特設会場を使って、子ども向け記念撮影会が例年11月頃より催されています。Braydenくんが家族とやってきたのは、2015年11月のこと。
戸惑う少年。すると、サンタが突然…
「目の前にいるのが大好きなサンタだってことは、Braydenも分かっていたと思います。だけど、誰かに好きだという気持ちを伝えるには、ちょっと勇気が足りなかったのでしょうね」
“本物”と彼が信じるサンタを目の前にして、6歳の少年は、尻込みしたのかクリスマス飾りの横でじっと身動きせず固くなっていた、と「USA TODAY」は、我が子の様子を伝える母親のErinさんのコメントを紹介しています。
その一部始終を目にしていたのが、当のサンタ。突然、そばにあったおもちゃを床に置き、ごろんと突っ伏して、まるで子どものように遊び始めました。サンタの遊びに惹かれたBraydenくん。徐々に距離を縮めていき、ついに一緒になってサンタの遊びに参加したんだそうです。
Erinさんによると、二人はこうして20分くらい、床に転がりながら遊んだ末に、最後は念願のツーショット撮影と、ハイタッチを交わすことができたそう。
サンタの機転に感謝
自閉症の子どもを持つ家族とサンタをつなぐイベント「Caring Santa」。子どもたちが穏やかに、ストレスなくサンタとの撮影を楽しんでもらいたいと、主催団体の「Autism Speaks」は、イベントの趣旨を説明しています。
サンタの機転もそのひとつ。自閉症の子どもの目線に立って考えた行動に、全米のメディアが賞賛するとともに、この二人の出会いを紹介しました。
「ABC News」に対して語った、母親のErinさんの言葉に本音が見えるような気がします。
「サンタとの撮影会に参加することは、なかば諦めていたんです。人の多い中にいることも、ずっと順番を待っていることも、彼にとっては苦痛だから。不安だった彼を気遣ってくれたサンタに感謝です」