その数2,000体!?東京・世田谷区に「招き猫」で溢れかえった寺があった
東京・世田谷区に位置する豪徳寺。もしかしたら、都内で暮らしていても「駅名:豪徳寺」の印象しかない人も多いのでは。ですが、この閑静な住宅街の中にひっそりと佇む寺の境内に、驚きの光景が広がっているんです。
その数1,000体以上!? 招き猫にまみれた寺
本堂左手の一角に突然、猫、猫、猫…。石碑の周囲、飾り棚の上一面びっしりに、さらには地面を覆い尽くさんばかりの猫。初めてこの地を訪れた人であれば、まず間違いなくその衝撃の光景に我が目を疑うはずです。 招猫観音菩薩を祀った招猫殿、その脇にあるのが「招き猫の奉納所」なるスペース。その数はゆうに1,000体。いや、2,000を超えることも珍しくないそうで、置ききれなくなった猫たちが、所狭しとビッチリ敷き詰められているのです。これは、いったい…。 この圧巻の招き猫づくめに、「Home of Fortune Cat(招き猫の聖地)」と称し、近年では海外からの観光客も注目する、話題のスポット。 さて、お察しのとおりここ豪徳寺は「招き猫」とゆかりのある寺の“ひとつ”。というのも、「招き猫発祥地」の看板を掲げる場所は、都内だけでも他に2カ所(浅草・今戸神社、西落合・自性院)あるのです。 では、豪徳寺と招き猫のつながりを見ていきましょう。
荒天を予言し、 藩主を招き入れた猫
豪徳寺は曹洞宗の弾寺で近江彦根藩・井伊家の菩提寺です。江戸のはじめ、鷹狩りの帰りに豪徳寺の前を通りかかった井伊直孝は、境内から手招きをしていた寺の飼い猫を目にしたそう。ではここらで一休みに…と住職のお茶を受けることに。 すると、みるみるうちに暗雲立ち込め、いつしか土砂降りの雷雨がこの地を襲いました。直孝は、「ずぶ濡れにならずに済んだのはあの猫が招き入れてくれたおかげ」、とこの寺を「菩提寺(ぼだいじ)」とすることを決めたそう。 ※「菩提寺(ぼだいじ)」は、先祖代々の墓や位牌をおき、菩提を弔う寺のこと。 名もなき小さな寺を、井伊家の菩提寺にしてくれたーー。住職は飼い猫の死後、墓を建て手厚く葬り祀ることにしました。豪徳寺の招き猫がお腹に小判を抱いていないのは、金運を招くのではなく、「福」や「徳」を招くことに由来しているため。
成就のお返し。 最も多く集まるのは1月?
招き猫に願いを込めた人々が、大願成就のあと、ここに招き猫を奉納しにやってきます。きちんとこの地に納めることで、さらに願いが叶うという噂も。新しい年が始まる1月が最も多くの猫たちが豪徳寺に戻ってくる時期なんだそう。 どれも同じ顔をした猫たちは、豪徳寺で販売(大小9種類)しているもの。でも、なかには「これ、本当に招き猫?」と疑ってしまうような怪しげな置物やら、ピンク色の猫やら、さらにはナゼだかキャットフードのお供えなんかも。 参拝のおすすめ時間帯は、西日が猫たちを真後ろから照らす天気のいい夕方。もはや荘厳。ここにしかない景色をぜひ!