どうしてカッコいいヤツらがこの店に集まるのか?

2019年5月、東京都・池尻大橋にオープンしたストリートバー「LOBBY」は、路地裏にひっそりと佇んでいるにもかかわらず、今やトレンドセッターが通い詰めるようになっています。

なぜ「LOBBY」がそんなに魅力的なのか、記事と動画であわせて紹介。

オーナーの井澤さんとカクテルを片手にカジュアルに話をしていたら、その答えを浮き彫りにすることができました。

©2019 NEW STANDARD

──なんでこんな路地裏にお店をオープンすることに?

 

どうしてもここでやりたかった理由があったんですよ。

お店に入るまでに駐車場の脇道を通ってもらわなければいけないんだけど、他の物件よりも天井が高いところに惹かれちゃって。

この空間を目にしたら、友だちや多くのお客さんがふらっと遊びに来てくれるようなストリートバーをオープンできると確信したんです。

 

──すみません、“ストリートバー”って?

 

オーセンティックバーには行きづらいけど、大衆居酒屋とは違うところを試してみたいと考えている人が一定層いると思うんです。

オーセンティックバーと大衆居酒屋の中間くらいの誰でも気軽に入れる開放的なバーという意味で、LOBBYをストリートバーと呼んでいます。

これまでにない概念なので、その立ち位置を確立することも僕たちがやりたいことのひとつですね。

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──大衆居酒屋との違いはすぐに分かるのですが、オーセンティックバーとはどうやって差別化を?

 

例えば、入り口を開放的にしているところですね。誰にでも気軽に入ってほしいということで、基本的にはオープンにしています。

あとは、デートや飲み会など、どんなシチュエーションでも使ってもらえるように、カウンター席やテーブル席、ベンチを用意しています。いろいろな人たちにいろいろな用途で使ってもらえる場所というのが、LOBBYの強みですね。

『LOBBY』って名前も、ホテルのロビーが一番イメージに近いので名づけました。

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──LOBBYのカクテルへのこだわりは?

 

ある時、僕はお店でお酒を飲む時に、次に飲みたいお酒がなくて、いつも同じお酒を頼んでいることに気づいたんです。ただただレモンサワーやハイボールを消費していて、それがもったいないなと感じました。

そこで、どうせお酒を飲むなら、次の一杯が楽しみになって、ワクワクするような体験にできたらいいなって。そんな気持ちを込めて、LOBBYでは自分達で漬けたお酒をベースにしたオリジナルカクテルを提供しています。

 

──でも、オリジナルカクテルだからお酒を頼もうと考える人は少ない気がする……。

 

その通りですね。僕らも、LOBBYの想いを押し付けるだけでは一方的なコミュニケーションだなと思っています。

だから、味覚だけでなく視覚にも訴えかけることを意識しているんですよ。例えば、LOBBYで一番人気のバイオレットレモンサワーは、その名の通り、バイオレットの見た目をしているんです。

見た目にもこだわることで、通常のレモンサワーのイメージや期待値をいい意味で裏切りたいと思っています。

この工夫をした結果はすでに出ていて、僕らのカクテルはよくSNSに投稿してもらえています。正直、嬉しいですよ。

 

──なるほどな〜。味以外の部分でお酒を頼みたくなるように演出しているんですね。

 

匂いにつながる仕掛けもしているんですよ。LOBBYが大切にしているのは、他の感覚も刺激してあげること。総合的な体感値を高めているんです。

でも、味を二の次にしているということではありません。当然のように味にもこだわっています。

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──本題からは逸れるんですが、お客さんの行動や心理が全てお見通しというのがスゴい(笑)。

 

それは僕のバックグラウンドが関係しているかもしれません。もともと飲食業ではなく、Yahoo!やGoogleで、デジタルマーケティングやビジネスコンサルティングに関わっていたんですよ。

飲食業界の経験といえば、学生時代のアルバイトくらい。技術で勝負することができない分、一消費者としての感覚を信じて、「こんな場所があったらいいな」というお店を実現しようといつも考えています。

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──LOBBYをどのように成長させたいんですか?

 

あ、言い忘れていたんですけど、僕らが取り組んでいる事業は飲食だけではないんです。

 

──……というと?

 

僕らはデザイン会社を運営しています。

遊びに来てくれたお客さんには話しているのですが、LOBBYはショールームのような位置づけです。

例えば、お店の壁画になっているアートは、LOBBYの一部のメンバーが入っている「RELISH」というチームで手がけました。過去にはGreenroom FestivalやSUMMER SONICでもアートを制作したんですよ。

このような空間での飲食体験を通して、僕らが表現できることを伝えたいと思っています。

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──具体的には?

 

日本では壁画に対して、いいイメージを持っている人は多くないんですよね。どうしても落書きと思われてしまう。

でも、海外では公私をつなげる機能も持っているんです。壁画って。

 

──スラム街のイメージを変えるために壁画を手がけるアーティストもいますからね。

 

壁画にまとわりつくネガティブな印象を取っ払って、ポジティブなイメージに変えていきたいんですよ。

RELISHの仕事はオフィス用の壁画を制作する時もあって。社員一人ひとりがビジョンやミッションを意識して働けたりするように、どうやったらそれを実現できるのか?を分析して、気持ちを込めて制作に取り掛かります。

RELISH以外のところでは、デザイン会社として広告案件を受けているので本当にいろんなことをやっていますね。

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──それだけいろんなことをやる理由は? 見方を変えれば、自分で自分を大変にしているってことじゃないですか。

 

全て自分たちがやりたいからやっているんです。本当にそれだけなので、大変よりむしろ楽しいという気持ちが上回りますね。

“やりたいからやる”という考えが根底にあって、そのために、僕らだからこそ提供できる価値は何か?と徹底的に考えています。

みんながやりたいことで生きていけたら素敵じゃないですか。だから、その環境を作りたい。

僕らは誰一人美大で勉強していないけど、頭を使ったらアートワークで生活を成り立たせる方法を見つけられるかもしれない。その道の経験がなくても、自分たちが歩んできた道や経験を武器にしたら、自分が本当にやりたいことで生きていくための道筋ができると信じています。

LOBBYやアーティスト活動を通して、それを体現していきたいんです。

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──デザイン会社やアートワークの話など、いろんな方向に話がいっちゃいましたが、最後にLOBBYでやりたいことを教えてください。

 

すでに言ったかもしれませんが、飲食業界をあまり経験していない僕らでもやれることがある。このような考えをLOBBYで具体に落として、お客さんに体感してもらいたい。

はっきりと言うのはおこがましいけど、彼らの五感を刺激したいんです。

最終的には、何かを発見して、新しいチャレンジをしてみたくなるような経験を得られる場所にしたいと思っています。


動画はこちら。

LOBBY

【住所】東京都目黒区東山3丁目6−15 エビヤビル1F

【営業時間】19:00〜2:00(火〜土)

【Instagram】https://www.instagram.com/lobby_ikejiri/

【WEB】https://www.lobbylobbylobby.com/

Top image: © 2019 NEW STANDARD
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