女性に大人気 「モロッカン陶器」の素敵な世界
モロッカン陶器が
できるまで
幾何学模様の組み合わせでできたゼリージュや鮮やかな色……日本でも人気の高いモロッカン陶器。フェスは陶器の代表的な産地だ。「フェスブルー」と呼ばれる白と青で塗られた陶器が赤土の大地に映える。
作業の始まりは、フェス郊外の山から採れる粘土を水に6日間浸すところから。食器は主にロクロで形作られたものを釜で焼いていくのだが、伝統的な釜ではオリーブの種を燃料にしていたらしい。
続いて素焼きで締められた陶器に細かな下絵がカラフルに色付けされていく。さらに釉薬を塗り、もう一度高温で10時間焼き続け、その後2日間かけて陶器の温度を徐々に下げていく。最後にひび割れなど仕上がりをチェックして完成である。
こうしてできた陶器はゼリージュの幾何学模様のモザイク柄は、偶像崇拝を禁止するイスラム教を信仰するモロッコだからこそ発展したものなのだろう。人物や風景などの具体的な表現を避け、抽象的な幾何学模様を研ぎ澄ますという発展をしたモロッコ美術。そんな制限の背景から生まれたデザインがモスクの外壁や内装のいたる所に使われているのも面白い。
モロッカン陶器を購入するなら……
目利きのポイント
もしもあなたがモロッカン陶器を購入しようと考えているなら、目利きのポイントも覚えておきたいところ。
職人の手による鮮やかな絵付けに関しては好みで選ぶとして、モロッカン陶器のなかでも上で紹介しているフェス製のものとなれば、美しいブルーがその最大の特徴となるだろう。また、フェス製かどうかを見分けるポイントは、陶器の裏側に施された釜のサイン。これがあるかどうかが、ひとつの指標となる。
陶器製のタイルで作る
モザイク「ゼリージュ」について
モロッカン陶器は、なにも器ばかりではない。カットしたタイルを組み合わせて幾何学模様を作るモザイクがゼリージュだ。
モスクの外壁や内装、リヤド(モロッコの邸宅を利用した宿泊施設)の床や天井、水くみ場や家庭のテーブルなどにまで使われていて、モロッコ中の華やかさを担っているといっても過言ではない。
使用する色は伝統的な七色から、最近では十色を使い分けている。これに模様を構成するパーツが360種類以上もある。どうりで多彩なパターンのタイルワークを目にするわけだ。 ちょっとディープでお洒落な旅を応援する大判ガイドブック『トリコガイド』のモロッコ・バージョン。豊富な写真と現地レポートをもとにした記事は、コアなトラベラーからの支持も厚い。モロッコに興味がある人は、まず手に取りたい1冊だ。
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