「なんか、いい感じ」の街には秘密があった!ウェルビーイングを高める都市デザイン
居心地のいいカフェ、緑あふれる公園、活気のある広場……。何気なく過ごしている街の風景が、じつはあなたの心身に影響を与えているとしたら?
千葉大学予防医学センターが行った興味深い研究によると、私たちの感じる「ウェルビーイング」は、都市空間のデザインと密接に関係しているという。
あなたの街にもきっとある
幸福度をUPさせる「場所」
2022年、千葉大学予防医学センターが、千葉県柏市の柏の葉エリアに住む成人273名を対象に、大規模な調査を実施した。スマートフォンアプリを使った経験サンプリング法というユニークな手法で、日常生活の中で感じる「心地よさ」や「不快感」をリアルタイムに記録。その結果、人々のウェルビーイングを高める「場所」と、さらにその「環境特性」が明らかになったらしい。
同センターによると、たとえば、公園などの公共空間や、おしゃれな飲食店、文化・スポーツ・教育施設といった場所にいるときに、人は瞬間的な心地よさを感じやすいという。さらに、人生に対する満足度や幸福感といった、より長期的な視点からのウェルビーイングは、「文化・スポーツ・教育施設」で過ごす時間で高まる傾向が見られたという。

「居心地のいい場所」には
共通点があった!
おもしろいことに、これらの場所には、「自然」「リラックス・清潔」「コミュニケーションしやすい」といった共通した環境特性があることもわかったそう。
たとえば、緑豊かな公園でリラックスしたり、清潔感のあるカフェで過ごしたり、オープンスペースで誰かと気軽にコミュニケーションを取ったりする時間は、私たちの心を満たし、幸福度を高める効果があるようだ。

ウェルビーイングを
「デザイン」する時代へ
今回の調査結果が示唆するのは、都市計画や街づくりにおいて、人々のウェルビーイングを意識した設計が重要性を増しているということだ。緑豊かな公園を増やしたり、誰もが利用しやすいカフェやレストランを誘致したりすることで、地域住民の幸福度を高められる可能性がある。
興味深いことに、今回の調査対象となった柏の葉エリアは、「健康長寿」をテーマとしたデザインガイドラインに沿って開発が進められてきたという背景がある。これは、公民学連携し、ウェルビーイングを都市デザインに組み込むという、先進的な取り組みのと言えるだろう。
自然と笑顔があふれる街並み。それは、そこに住む人々のウェルビーイングを追求した結果なのかもしれない。