いま、ホリデーシーズンのアメリカで起きている異変
世界の市場がクリスマスへと向かうなか、アメリカですこし気がかりなニュースが。
「ロイター通信」によると、「ウォルマート」や「ターゲット」といった大手小売企業が、クリスマス商材の輸入を減らしているという。一体なぜ、年末商戦に向けて在庫を減らすという、不可解な行動に出ているのだろうか?
アメリカを襲うインフレの波
背景には、アメリカで続くインフレの影響があるようだ。2022年のホリデーシーズンでは、コロナ禍によるサプライチェーンの混乱を懸念して在庫を積み増したものの、需要を読み誤り、過剰な在庫を抱える結果となってしまった。その反省から、今年は在庫リスクを回避する動きが顕著になっているとロイター通信は伝える。
さらに追い打ちをかけるように、消費者の心理を冷え込ませているのが物価上昇だ。生活必需品への支出が増加するなかで、クリスマスギフトや装飾品への購買意欲は減退しているという。全米小売業協会(NRF)の予測では、今年のホリデーシーズンの売上高は前年比2.1%増にとどまると予測しており、これは過去10年間の平均成長率3.9%を大きく下回る数字だ。
クリスマス商戦の行方は……?
しかし、これは単なる不況の兆候なのだろうか? 視点を変えてみると、そこにはアメリカ小売業界のしたたかな戦略が見えてくる。
近年、消費者の間で高まっているのが「サステナビリティ」への意識。大量生産・大量消費を見直し、本当に必要なものだけを選び取る姿勢は、クリスマス商戦にも変化をもたらしつつある。企業側もこの動きを敏感に察知しており、在庫削減は過剰な消費を抑制し、環境負荷を低減する取り組みとして、企業イメージの向上にも繋がる可能性を秘めている。とは考えすぎだろうか。
今年のクリスマスは、これまでとは少し違う景色が広がっているかもしれない。衝動買いではなく、本当に大切な人に、本当に喜んでもらえるプレゼントを、じっくり選んでみるのもいいかもしれない。