Z世代の「ニュース空間」を席巻する新潮流:TikTokは、新聞やテレビを超える?
「若者の政治離れ」は、もはや聞き飽きた常套句かもしれない。しかし、本当にそうだろうか? スマホと共に育ち、日々膨大な情報に触れているZ世代にとって、政治は"遠い国の出来事"ではなく、むしろ身近な問題として捉えられているのかもしれない。
SNSが普及した今、若者とニュース、そして政治との距離感は、従来とは異なる形で変化している可能性がある。
TikTokを開けば
そこにはニュースが溢れている
TikTokは、「ダンスやおもしろい動画を見るためのアプリ」そう思っている人は、情報収集において、大きく後れを取っているかもしれない。先月、「Pew Research Center」が発表した調査報告を見てみると、アメリカ成人のうち、「ソーシャルメディアでニュースを閲覧する人」の割合は54%にものぼり、近年の傾向と比較してもその数は増加傾向にあるという。
さらに驚くべきは、TikTokユーザーのニュース閲覧率の高さだ。2020年にはわずか22%だったTikTokユーザーのニュース閲覧率は、2023年には43%にまで上昇、2024年には過半数を超える52%に達している。この数値は、TikTokが若年層にとって、単なる娯楽のためのアプリではなく、重要なニュースソースになりつつあることを如実に示していると言えるのではないだろうか。
プラットフォームの選択が映し出す
アメリカの“光と影”
SNSプラットフォームの選択は、そのままユーザーの思想や信条を反映していると言えるかもしれない。同研究所の調査によると、トランプ前大統領が所有する「Truth Social」や「Rumble」といった保守系プラットフォームでは、ニュース閲覧者の8割以上が共和党支持者または共和党寄りの無党派層であることが明らかになっている。これは、「Facebook」や「YouTube」といった、より一般的なプラットフォームと比較しても、顕著な傾向だ。
近年、深刻化しているアメリカの政治的分断。ソーシャルメディアは、この分断をさらに加速させてしまうリスクも孕んでいると懸念する声も。フィルターバブル効果によって、自分と異なる意見に触れる機会が減り、自身の思想や信条をさらに強化してしまう可能性もある。
SNSの普及により、私たちはいつでもどこでも膨大な情報にアクセスできるようになった。しかしその反面、情報を取捨選択し、真偽を見極める情報リテラシーが、これまで以上に重要になっていることは間違いない。
👀 GenZ's Eye 👀
ダンス動画やショートドラマばかり追っかけているZ世代は意外と少ないんじゃないでしょうか。政治やニュースに限らず、価値観やZ世代的美学を動画というフォーマットに乗せて発信する同世代も増えてきています。娯楽として、トレンド発信だけでないTikTokの活用法がいま若者のあいだで広がりつつあると実感しています。