消費者の半数が「TikTokで買い物」。勢いが止まらない「ソーシャルコマース」
「欲しい」と思った瞬間に、指先一つで商品を購入する。ECサイトの普及により、大きく変化した私たちの購買行動。そして今、新たな波が訪れようとしている。
それが、TikTokやInstagramなどSNSを通じて商品を購入する「ソーシャルコマース」の台頭だ。
熱狂を生み出す
「ライブコマース」という購買体験
世界的な調査会社「NIQ」が発表した『NIQ Consumer Outlook 2024』によると、実店舗とオンラインの双方で購入する消費者は、世界で85%にものぼる。さらに、アメリカでは回答者の55%が「SNSやライブストリーミングを通じて食品や日用品を直接購入した経験がある」と回答。SNSが新たな購買プラットフォームとして存在感を増していることが明らかになった。
従来のECサイトは、いわば実店舗での購買行動をオンライン上に移したものであるのに対し、TikTokは動画を通じて「商品体験」そのものを共有できるプラットフォームだ。
たとえば、インフルエンサーが商品を実際に使用している様子や、リアルなクチコミを伝えることで、消費者は商品をより身近に感じ、購買意欲を高められる。
さらに「TikTok Shop」のライブコマース機能では、視聴者とリアルタイムにコミュニケーションを取りながら商品を販売することも可能。視聴者はコメント欄を通じて質問したり、感想を共有したりすることで、他の視聴者や販売者との一体感を味わうことができる。つまり、従来のECサイトでは得られなかった購買体験の「熱狂」を、TikTokは与えてくれるのだ。
TikTokは「運命の出会い」を提供する
同調査によると、TikTok Shopを利用するユーザーの82%が「TikTokがきっかけで新しいブランドを知った」と回答。また「TikTok上で新しい商品を見たときに、他のSNSや動画プラットフォームに比べて、すぐに購入する」割合は48%も高いという結果も出ている。
一体、なぜTikTokはこんなにも購買意欲を高められるのだろうか。
理由のひとつとして挙げられるのが、TikTokの優れた「レコメンド機能」。ユーザーの視聴履歴や興味関心に基づき、パーソナライズされたコンテンツを表示するアルゴリズムによって、今まで知らなかったブランドや商品との「運命的な出会い」を演出し、消費者の心を掴んでいるのだ。
消費者の心を掴む「体験価値」の提供
TikTokは、従来の購買行動モデルに大きな変革をもたらしている。商品やサービスそのものだけでなく、それを通じて得られる「体験」や「感情」といった付加価値が、購買決定において重要な役割を果たすようになったとといえるだろう。
ライブコマースで熱狂を生み出すエンタメ性、パーソナライズされたレコメンド機能による予期せぬ発見。TikTokはもはや単なる動画共有アプリではなく、企業が消費者に商品やサービスの世界観を伝え、共感を生み出すための強力なツールへと進化を遂げている。