9兆ドル規模へ!進化が止まらない「ウェルネス」市場が描く、未来のライフスタイル

現代において、人々が求めるのは「ただ長生きすること」ではなく、「心身ともに満たされた」状態。 食事や旅行、美容、そして心のケアまで、その範囲は広がり続け、従来の枠組みを超えた「ウェルネス」という概念が、現代人の価値観を大きく変えつつある。

最近の調査によれば、世界のヘルス&ウェルネス市場規模は、今年の5兆8621億米ドルから、2033年までに9兆2458億米ドルに達する見込みも。 この巨大市場を牽引する注目のトレンドを紐解いていこう。

進化する「ウェルネスツーリズム」の現在地

「観光」から「変容」へ。旅行の目的も、日々多様化している。 従来型の観光に満足せず、ヨガや瞑想のリトリート、温泉療法、自然体験など心身の健康を目的とした「ウェルネスツーリズム」を選択する人が増えているのだ。

「Precedence Research」の調査によると、今後ウェルネスツーリズムは、ヘルス&ウェルネス市場のなかでもっとも急速な成長が見込まれている分野のひとつ。 旅行業界では早くもこのトレンドを察知し、宿泊施設やツアーの内容に「ウェルネス」要素を積極的に取り入れる動きが加速しているという。

たとえば、滞在中にファスティングプログラムを提供するホテルや、地元の食材を使ったオーガニック料理を提供するリゾート施設なども登場。 自分へのご褒美として、非日常空間で心身をリフレッシュできるウェルネスツーリズムは、ますます人気を集めそうだ。 次の旅行先は、心身をリフレッシュできる、ウェルネスツーリズムを選んでみてはいかがだろうか。

SDGsや「エシカル消費」ともリンク
美容市場にニューウェーブ

巨大市場を誇るパーソナルケア・美容・アンチエイジング市場。 2023年には、世界のヘルス&ウェルネス市場全体に占めるシェアが21.59%に達したというデータもある。

しかし、市場の成熟に伴い、従来の価値観だけでは消費者を満足させることは難しくなってきているのも事実だ。 最近のトレンドとして注目すべきは「サステナビリティ」や「エシカル消費」を意識した商品開発。 環境負荷の少ない成分の使用や、フェアトレードで調達した原料の採用、過剰包装の廃止など、企業はあらゆる角度から環境問題や社会貢献への取り組みを強化している。

また、AIやビッグデータを活用したパーソナライズ化も加速。 一人ひとりの肌質や悩みに合わせた、最適な商品やサービスの提供が可能になっている。 毎日使うものだからこそ、環境や社会に配慮した商品を選んでみるのもいいだろう。

生活とウェルビーイングの両立
メンタルヘルスを取り巻く新たな課題

パンデミックの影響もあり、世界的にメンタルヘルスの重要性に対する認識も高まっている。WHOによると、世界では約2億8000万人がうつ病を患っており、これは世界人口の約3.8%に相当する。 日本では企業における従業員のメンタルヘルス対策が義務化されるなど、社会全体で「心の健康」を守るための取り組みが進んでいる。

オンラインカウンセリングサービスの需要増加や、企業における従業員向けメンタルヘルスプログラムの導入など、メンタルヘルス市場は、今後も成長を続けていくだろう。

最近では、「マインドフルネス」や「瞑想」といった心の状態を整えるためのテクニックも注目されている。 これらのテクニックは、ストレスを軽減し、集中力や創造性を高める効果も期待できることから、企業研修などにも積極的に取り入れられ始めている。 ストレスの多い現代社会において、こうしたメンタルヘルステクニックを、生活に取り入れてみてはどうだろうか。

「ウェルネス」という言葉が広く知られるようになり、人々の意識や行動は変化している。 心身ともに健康的なライフスタイルの実現は、もはや一部の人のものではなく、誰もが目指せるものになりつつあると言えるだろう。

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