「自分らしさ」を輝かせる選択。「エシカル消費」で見つける、未来への希望

地球温暖化、海洋汚染、貧困、児童労働……。いま、世界が抱える課題は、もはや他人事ではありません。デジタルネイティブとして育ち、社会問題への意識が高いZ世代にとって、倫理的な消費行動、すなわち「エシカル消費」は、未来への希望を創造するための、力強いツールになりつつあります。

エシカル消費とは?

エシカル消費とは、単に環境に優しい商品を選ぶだけではありません。商品やサービスの背景にある、生産者の労働環境、人権問題、動物福祉、環境負荷など、多岐にわたる倫理的な側面を考慮した消費活動です。

フェアトレード認証を受けたコーヒー、オーガニックコットンのTシャツ、動物実験を行っていないコスメなど、私たちの選択の一つひとつが、地球全体の未来を形作っていくことにも意識をもった消費活動とも言えるでしょう。

近年、エシカル消費の市場は世界的に拡大しており、特にZ世代の購買力は、企業の姿勢を大きく変える可能性を秘めています。エシカル市場規模調査実行委員会による、日本初の「エシカル市場規模調査」によると、2022年の段階で日本のエシカル市場規模は約8兆円であることが判明しました。こうした背景からも、企業は倫理的なビジネスモデルへの転換を迫られています。

また、消費者庁の「エシカル消費に関する意識調査」においても、「環境問題や社会問題に配慮した商品・サービスを購入したい」と考える消費者は増加傾向にあり、Z世代の多くが「企業の社会的責任を重視する」と回答しています。

Z世代注目のエシカルブランド:
最新トレンドを徹底解剖

Z世代の関心の高まりとともに、エシカル消費は、ファッション、コスメ、フード、ジュエリーなど、多様な分野で進化を遂げています。環境配慮や社会貢献だけでなく、デザイン性や品質にもこだわるZ世代の心を掴む、魅力的なブランドや商品が続々と登場。以下、その一例を見ていきましょう。

ファッション:
自分らしさを表現するサステナブルなスタイル

環境負荷の低い素材を使用したブランド、フェアトレード認証を受けたブランド、動物の搾取を行わないヴィーガンブランドなど、多様な選択肢が登場しています。

たとえば「ピープルツリー」は、フェアトレードで生産されたオーガニックコットンの衣料品を展開し、生産者と消費者の双方にとって公正な取引を実現しています。また、岡山県児島のアパレルメーカー「KAPITAL」は、古着や伝統的な技法を取り入れ、一点もののアイテムを製作することで、大量生産・大量消費のサイクルから脱却した、持続可能なファッションを提案しています。またあ、衣類のレンタルサービスやリセールプラットフォームも人気を集めています。

ほかにも、アパレル業界向けにサーキュラー・ソリューションを提供する「The Renewal Workshop」は、有名ブランドの返品や余剰在庫を回収し、修理・再生して販売する取り組みを通して、衣類の廃棄削減に貢献。「Patagonia」もまた早くから、古着の回収・リサイクルプログラムや製品の修理サービスを提供することで、長く愛用できる商品づくりを推進し、循環型経済の実現を目指してきたブランドとして知られています。

コスメ:
地球にも肌にも優しい、ビューティー革命

動物実験を行わないクルーエルティフリーコスメや、自然由来の成分にこだわったオーガニックコスメ、動物性原料を使用しないヴィーガンコスメが、Z世代の支持を集めています。

プラスチック容器の使用量削減を目指す「リフィル・詰め替え」タイプの商品も、環境意識の高い消費者から注目されています。国産オーガニックコスメブランドの「SHIRO」は、素材の厳選から製造プロセスまで、環境への配慮を徹底。製品パッケージには、リサイクル可能な素材を使用し、環境負荷を最小限に抑える努力を続けています。

フード:
食卓から未来を変える持続可能な食の選択

オーガニックフードやフェアトレード認証を受けた食品に加え、食品ロス削減を目的としたサービスや、環境負荷の低い「プラントベースフード」が人気を集めています。先進国の肥満や生活習慣病の解消に同時に取り組む、日本発の社会貢献運動「TABLE FOR TWO」は、「開発途上国の子供に給食を届ける」という社会貢献活動を軸に、健康的な食生活を提案するフードサービス企業です。同団体が提供するメニューは、カロリーや栄養バランスが調整されており、食事をするたびに、開発途上国の子供に給食費が寄付される仕組みになっています。

ジュエリー:
地球の恵みを身に纏う、エシカルな輝き

エシカルダイヤモンド、リサイクルメタル、フェアトレード認証を受けた宝石など、環境負荷や社会問題に配慮した素材を使用したジュエリーブランドが注目されています。「HASUNA」は、紛争や人権問題に関与しない「エシカルダイヤモンド」やリサイクルゴールドフェアマインド認証ゴールドなどを使用したジュエリーを製作し、透明性の高いサプライチェーンを構築することで、持続可能なジュエリー産業の実現を目指しています。

エシカル消費の未来:
テクノロジーとイノベーションが拓く
持続可能な社会

エシカル消費は、単なる一過性のトレンドではありません。テクノロジーの進化、企業の意識改革、そして消費者の行動変容が、エシカル消費の未来をより明るいものへと導いていくでしょう。

テクノロジーとイノベーション:
透明性と信頼性を高める

AIやブロックチェーン技術の活用により、商品の生産履歴の追跡サプライチェーンの透明化偽造品の排除などが可能になります。消費者は、より安心してエシカルな商品を選択できるようになり、企業は、より責任ある生産活動を行うインセンティブを得ることができます。

企業の意識改革:
ESG経営へのシフト

環境・社会・ガバナンス(ESG)を重視した経営が主流となりつつあります。企業は環境負荷の低減人権の尊重倫理的な事業活動など、多岐にわたる責任を果たすことが求められます。エシカル消費の拡大は、企業の持続可能な成長を促す原動力となるでしょう。

消費者の意識改革:
行動変容が未来を変える

情報収集を習慣化し、本当に必要なものを吟味し、長く愛用できるものを選び、リペアやリユース、リサイクルを積極的に実践する。私たち一人ひとりの意識と行動の変化が、エシカル消費をより大きなムーブメントへと発展させ、持続可能な社会の実現を加速させるでしょう。

Top image: © iStock.com/Sakorn Sukkasemsakorn
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