AIやパーソナライズで進化する「オンライン美容市場」の未来

仕事終わりや休日のリラックスタイム。スマホで気になるコスメをチェックして、ポチッと購入。そんな人も多いのではないだろうか。

世界的な市場調査会社「Technavio」の報告によると、世界のオンライン美容・パーソナルケア製品市場規模は、2028年までに509.6億米ドルに達すると予測されている。これは2024年から2028年の間に、年平均成長率14.76%という驚異的な成長を遂げることを意味する。 加速するオンライン美容市場。その勢いをさらに後押しする、3つの注目トレンドを見ていこう。

物流スタートアップにチャンス到来?
パーソナルケア市場が抱える「配送問題」

オンライン市場の拡大は、これまで以上に「物流」の重要性を高めている。注文から配達までのスピード、そして正確さが顧客満足度に直結するからだ。同社の報告によると、オンライン美容・パーソナルケア製品市場においても、正確な住所情報の不足や非効率的な配送ルートシステムなどが課題として浮上しているという。とくに海外からの発送となると、コスト増加も避けられない。配送遅延は顧客満足度を低下させ、ブランドイメージにも悪影響を及ぼす可能性がある。

これらの課題を解決するため、多くの企業が外部の物流企業との連携を模索している。配送業務をアウトソーシングすることで、効率的な配送体制を構築できるだけでなく、人件費の削減にも繋がるからだ。また、万が一トラブルが発生した場合でも、顧客対応を物流企業に一任できるため、ブランドイメージの保護という点でもメリットがある。

この流れは、新たなビジネスチャンスを生み出す可能性も秘めている。たとえば、小規模なブランドやスタートアップ企業向けに、柔軟性やカスタマイズ性に優れた物流サービスを提供するスタートアップ企業が登場するかもしれない。

エシカル消費が浸透
ブランド戦略は「透明性」が鍵

 

オンライン美容市場の成長を語る上で欠かせないキーワード。それがクリーンビューティーだ。肌に優しい自然由来成分を配合した製品の人気が高まっている背景には、環境問題への意識の高まりや倫理的な消費活動への共感がある。製造過程における環境負荷動物実験の是非など、消費者は製品の背景にあるストーリーまでをも重視するようになっている。

企業は、成分の安全性や環境への配慮をアピールするだけでなく、サプライチェーンの透明性を高め、倫理的な調達を徹底していることを積極的に発信していく必要があるだろう。

 

男性向けパーソナルケア市場の台頭
新たな需要を捉える「D2C」戦略

従来の男性のイメージを覆すように、美容への意識が高い男性が増えている。Technavioの分析によれば、オンラインで美容・パーソナルケア製品を購入する男性が増加しており、男性美容市場は急成長を遂げているという。実店舗で購入することに抵抗があった商品でも、オンラインであれば周囲の目を気にすることなく、比較検討しながら購入できる。この手軽さが、新たな顧客層を獲得することに繋がっていると言えるだろう。

こうした流れの中で注目されているのが、D2C (Direct to Consumer) ブランドだ。中間業者を介さずに消費者に直接商品を販売するD2Cブランドは、オンライン市場との相性が良い。顧客との距離が近く、ニーズを素早く商品開発に反映できるという強みを活かし、男性向けパーソナルケア市場においても、D2Cブランドの存在感が高まっている。

オンライン市場の拡大は、私たちに新たな「綺麗」との出会いを提供してくれる。環境への配慮を忘れず、自分にとって本当に良いものを選択していく。そんな賢い消費者が、これからのオンライン美容市場を形作っていくのかもしれない。

👀 GenZ's Eye 👀

オンライン美容市場もエシカルへ。私たちの日々の選択のなかには様々な人が関わって、環境への影響もあって……。私たちと社会との繋がりを意識させられるトピックだと感じます。

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TABI LABO この世界は、もっと広いはずだ。