Z世代よ、誰からニュースを得る? :ソーシャルメディアが変える情報収集のカタチ
朝の通勤時間、寝る前のリラックスタイム……ふと開いたスマホの画面に流れてくる、インフルエンサーたちの投稿。美味しそうなグルメ情報やおしゃれなファッションに心を躍らせるいっぽうで、社会問題に対する鋭い意見や政治に関する持論を目にする機会も増えたのでは?
そう、今やインフルエンサーは単なる「影響力をもつ個人」を超え、私たちの価値観や世界の見方さえも左右する、新たな「情報源」になりつつあるのかもしれない。
インフルエンサーの「発信」
新たな主要情報源に
米「Pew Reseach Center」が今年11月に発表した調査結果によると、アメリカ人の5人に1人(21%)が、ソーシャルメディアのインフルエンサーを通して日常的にニュースに触れているという。しかも、18歳から29歳の層に絞ると、その割合は37%にまで上昇。デジタルネイティブ世代にとって、インフルエンサーはもはやテレビや新聞と並ぶ主要な情報源になりつつあるのかもしれない。
では、アメリカで大きな影響力をもつインフルエンサーたちは、一体どんな人たちなのだろう? 同調査が約500人の人気インフルエンサーを分析したところ、意外な事実が浮かび上がってきた。
まずジェンダーの偏りを見てみると、インフルエンサー全体の63%が男性で女性はわずか30%にとどまる。さらに、政治的な立場についても右派寄りの意見を表明する人が27%であるのに対し、左派寄りは21%と、右派優勢の傾向が見られることがわかった。
また、興味深いことに調査対象となったインフルエンサーの77%は、特定のニュースメディアに所属していないフリーランスであることも判明。従来のメディアとは異なる立場から独自の視点で情報を発信している点は、彼らならではの魅力と言えるだろう。
プラットフォームで変化する
インフルエンサーの属性
多くのインフルエンサーは、自身の発信力を活かして収入を得ている。その方法は、フォロワー向けの有料コンテンツやグッズ販売、企業とのタイアップなど、実に多岐にわたる。なかには、従来のメディア企業の収入をはるかに上回る金額を稼ぎ出すインフルエンサーも存在するというから驚きだ。
同調査では、インフルエンサーが活動するプラットフォームの違いにも着目している。その結果、85%ものインフルエンサーがXにアカウントを持っていることが判明。次いでInstagramが50%、YouTubeが44%とつづく。
近年、若年層を中心に人気を集めるTikTokでは、他のプラットフォームとは異なる傾向が見られる。TikTokで活躍するインフルエンサーは、男性と女性の比率がそれぞれ50%、45%とジェンダーギャップが比較的小さい。また、LGBTQ+の権利を支持したり、自らをLGBTQ+であると公表するインフルエンサーが多いのもひとつの特徴だ。
プラットフォームごとに異なるユーザー層や文化が、インフルエンサーの属性や発信内容に影響を与えていると言えるだろう。
👀GenZ’s Eye👀
SNSによって情報発信の“民主化”が実現し、権力による情報の隠蔽はほぼ不可能となった。しかし、いっぽうで真実でない情報も増加している。これからは、より高度な情報リテラシーが必要とされていくだろう。