世界でもっとも学習熱心なのに……日本人が依然と抱える「英語コンプレックス」
「英語を話せるようになりたい」そう思ったことはないだろうか。海外旅行でのスムーズなコミュニケーションや、グローバルな仕事に挑戦する……英語習得の先々に広がる未来は、私たちに無限の可能性を提示してくれる。
語学学習アプリ「Duolingo」が今月発表した調査結果によると、日本は「世界でもっとも学習熱心な国」ランキングで1位に返り咲いた。日本人の学習意欲の高さが伺える反面、私たちが抱えるコンプレックスも浮き彫りに……。
「アプリ学習」が主流
AIは、頼れる学習パートナーに?
Duolingo, Inc.が発表する「Duolingo Language Report 2024」は、世界1億1,300万人以上のDuolingoユーザーの学習動向を分析したレポートだ。その結果、学習時間の平均値で日本は世界1位に。学習意欲の高さはまさに世界トップレベルと言えるだろう。
では、日本人はどのように語学学習に取り組んでいるのだろうか。同レポートによると、もっともポピュラーな学習方法は「アプリ」で、全体の58.3%が利用しているという。手軽に始められる点が、忙しい現代人にマッチしているのかもしれない。そのほか、「YouTubeやNetflixなどの動画サービス」(37%)、「教本」(35.6%)と続き、従来型の学習方法も根強い人気を誇っている。
また、近年注目を集めているのが「ChatGPT」などの会話型AIツールだ。同レポートでは、AIツールを活用した学習経験を持つ人が13.3%にのぼり、特に10代では27.8%、20代では15.0%と、若年層を中心に急速に普及していることが明らかに。
「人との会話に比べて緊張せず、恥ずかしくない」「24時間利用できる」「自由に質問できる」といった点がメリットとして挙げられるいっぽうで、「機械的なやりとりや臨場感の少なさ」「回答が正確であるか不安」「自身に適した正しい学習方法か分からない」といった不安の声も。AIツールの効果的な活用方法については、まだまだ模索が続いていると言えるだろう。
求めるは「生きた英語」
根底にある、日本人の英語コンプレックス
興味深いのは、学習熱心ランキング1位でありながらも「英語力に自信がある」と回答した日本人はわずか1割程度しかいないという点だ。
こんなに勉強しているのに、なんで話せないんだろう……多くの人が抱えるこの悩みの根底には、従来の「受験英語」や「文法偏重」の学習方法が影響しているのかもしれない。
同調査では「通訳・翻訳ツールに頼らず、自分で語学力を身につけたい」と回答した人が37.9%にのぼった。その理由としてもっとも多かったのは「自己成長や自己肯定感に繋がるから」(25.8%) で、次いで「遅延のない自然なコミュニケーションがしたいから」(25.3%)、「異文化理解のため」(24.5%)と続いた。
これらの結果から、現代の日本人が求めているのは単なる試験のための英語力ではなく、自身の想いや考えを自由に表現できる「生きた英語」なのではないだろうか。
AI技術の進化によって、高精度な翻訳ツールが手軽に利用できるようになった現代。それでも多くの人が「自分で英語を話せるようになりたい」と願うのは、語学学習の本質が、単なるスキル習得を超えた、人間的な成長や深いつながりの構築にあるからなのかもしれない。
👀GenZ's Eye👀
Duolingoの魅力のひとつは、ユーザーを応援したり時には怒ったりしてくれる「緑の鳥」の存在だ。Duolingoの日本公式Xアカウントでは、この愛らしいキャラクターが時々話題を呼んでいる。この「緑の鳥」は、学習者の自己肯定感を高める効果もあるのではないだろうか。