伝統工芸の「陶器ごみ問題」を解決するマグカップ

岡山県備前市に伝わる日本六古窯のひとつ「備前焼」。釉薬(うわぐすり)を使わず、絵付けもせずに高温で焼き締めるため、大地のぬくもりと素朴な風合いが折り重なり、土味がよく表れる焼き物だ。

複雑な温度変化や湿気が美しい紋様を生み出すが、同時に温度差も大きくなるため傷が入りやすく、全体の1割〜2割は破棄され“陶器ごみ”となってしまうそうだ。

©Makuake
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「いい焼きに限って傷がある」

備前焼の良さを形容する言葉だそうだが、それは必ずしも今の時代に即したものとは言えない。

けれど、焼き締めた陶器は有機物が消失しているため、そのままでは土に還すことができない。また、地域の特徴ある土が年々減少しつつある原料問題も同時に現場の悩みのひとつとなっていた。

そこで、備前の地で循環するものづくりを目指して、陶器ごみをリサイクルし新たな作品として生まれ変わらせるプロジェクト「RI-CO」が立ち上がった。

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岡山県で焙煎工場を営む経営者と耐火煉瓦(レンガ)会社がタッグを組むことで、これまで廃棄されるままになっていた陶器ごみの再利用が可能に。

リサイクルに応用されたのは、使用済みレンガや失敗作で実施されるレンガを粉砕してから再生するという技術。これを陶器ごみに応用したわけだ。

割れてしまった備前焼を砕いて、もう一度粘土に混ぜて焼く。ここでも他の産地の土を混ぜることなく、100%備前の素材だけで循環させることを心がけた。

こうして試行錯誤の末、誕生した「RI-CO BIZENマグカップ」。廃棄されるはずの陶器ごみは、もう一度、備前の再生素材として活用され、地球にやさしいマグカップとして生まれ変わった。

 

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ところで、備前焼には「水が腐らない」「お酒がおいしくなる」などと、昔から言われてきた歴史がある。都市伝説のような言い伝えだが、今回の製品化にあたり、味覚センサーによる比較実験を実施したそうだ。

詳細は、以下のURLに詳しいが、「雑味はまろやかに酸味はクリアでシャープな味わいに」というのが科学的にも証明されたとのこと。

1000年守り抜いた技法に新たなリサイクル技術が加わることで、ものづくりに循環を生み出した普段使いのマグカップ。ストーリーも申し分ない。1つ2900円(税込)から。

リサイクルマグ|RI-CO BIZEN

【購入ページ】https://www.makuake.com/project/ri-co/

Top image: © Makuake
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