「守る」と「活かす」って違うよね、と「工芸ハッカソン」に思う

ハッカソンって、知ってる?

私はよく知らなかったので、まずはそういう人のためにもご説明を。

「ハッカソン(hackathon)」は、「ハック(hack)」+「マラソン(marathon)」の造語で、ソフトウエアやWEBサービスを作るときに使われる手法だ。開発者やデザイナー、マネージャーが決められた期間一緒に作業して、各チームのアイデアや技能を競う。

ちなみに、Facebookのいいね!や、SNSのチャット、タイムラインの機能は、ハッカソンから生まれたアイデア。世界を変える、何かすごいものが生まれるかもしれない空間、それがハッカソンなのだ。

そのハッカソンが
富山で開かれるらしい

今秋、富山県で行われるハッカソンのテーマは、前述のようなSNSサービスではない(いや、もしかしたらそれ関連のものも生まれるかもしれない…何があるかわからない、それがハッカソン!)。

富山のハッカソン、その名も国際北陸工芸サミット「工芸ハッカソン」のテーマは、アート×伝統産業×先端技術だ。というのも、会場となる富山県高岡市は、400年以上の歴史を持つ、金工・漆芸のまち

高岡漆器は、伝統的工芸品として国の指定を受けている漆器。このほか、金工品の高岡銅器も指定を受けている、まさにものづくりのまちなのだ。

工芸ハッカソン、
その全貌は?

工芸ハッカソンでは、富山県内の職人・工芸作家と、国内のアーティストやプログラマー、科学者や研究者との共同作業から、工芸をどう未来に活かしていくかを考えるそうだ。たとえば、工芸を使ってどんなデイリープロダクトがつくれるか、伝統の技をアート作品にどう活用できるか、工芸の課題を解決するようなアプリやサービスを作れるか、などなど。

金属を溶かす溶解炉や、型込めのための砂場がある工房といった設備、そして3次元測定機など最新鋭の機材も使用できるのだそう。

「守る」ためじゃなく
「活かす」道を探す4日間

「伝統技術を守ろう」という声は、今まで何百回と耳にしてきた。もちろん、伝統技術は習得するまでに時間がかかるし、ということは、一度失われてしまうと簡単に取り戻せるものではない。確かに「守る」対象ではある。けれど、「守る」だけでいいのか? 工芸ハッカソンは、工芸が守られるべき伝統であるだけでなく、活きた産業になりうるのか、その可能性をさぐる重要な試みなのだ。

我こそは!という方、応募はこちらから。応募締切は2017年8月27日(日)。

ちなみに、私みたいに応募対象外の人でも、11月19日(日)に開催されるプレゼンテーションや公開審査会は参加できるので、一緒に工芸ハッカソンを楽しむことができる。また、2018年1月~2月には、富山県高岡市・富山市・魚津市で巡回展も行われる予定。おもしろいアイデアに出会えるかも。

Licensed material used with permission by 国際北陸工芸サミット「工芸ハッカソン」
TABI LABO この世界は、もっと広いはずだ。