日本人も欲しくなる「外国人が心から喜ぶお土産」⑤
外国の知人や友人へのお土産を「なんとなく、日本っぽいかも」なんて基準で選んではいませんか? 心から友情や愛情の深さを伝えたいなら、まずはあなた自身が「欲しい」と思うものを──。
全国のモノづくりの産地を巡り、日本ならでのセンスとクオリティと“想い”に溢れたオリジナルアイテムを生み出すギフトショップ「KIRI JAPAN DESIGN STORE」のディレクター・片桐裕太さんに「外国の方に必ず喜んでもらえて、さらに自分でも欲しくなる日本のお土産」をリコメンドしてもらいます。
伝統の技法とモダンデザインの融合
「用の美」が詰まった一品
海外でも高く評価されている「南部鉄器」は、日本を代表する工芸品のひとつです。
その圧倒的な存在感は、伝統的な技法のもと、多くの手間と時間を費やされ生まれてきます。
今回ご紹介するのは、岩手県奥州市水沢に工房『空間鋳造』を構えている岩清水久生さんの鉄急須。なかでも鉄急須“Moon”“Egg”は、岩清水さん自らがデザインされた思い出深い作品なのだそうです。
「岩清水さんの作品は、鉄本来の質感をストレートに感じられるようにと、絵柄をつけない鋳肌のみで表現されています。仕上げ段階で着色し磨き上げられたその姿は、“黒”という言葉だけでは表現しきれない、まさに漆黒の鋳肌に仕上げられています」。
「そしてもう一つの特徴である、繊細で美しいフォルムは生型製造で表現されています。生型製造は崩れやすい砂から鋳型を作る技法で、職人の手作業によりおこなわれ、その工程には経験と熟練した技が必要とされます」。
出来上がった鋳型に流し込まれた、真っ赤な溶解鉄はやがて美しいフォルムの鉄急須へと生まれ変わります。
伝統的な鋳肌の質感とモダンなフォルムを兼ね備えた岩清水さんの作品は、現代の生活空間にも溶け込むとヨーロッパの方々を中心に人気を博しています。
「また、岩清水さんのドローイングが施された桐箱も好評です」。
真っ白い桐箱から取り出される漆黒の鉄急須──。
日本独自の陰影を含んだ白と黒のコントラストが美しい逸品は、贈る側にも贈られる側にも特別な時間を楽しませてくれることでしょう。
1983年、北海道生まれ。大学卒業後に上京し、セレクトショップ「TOMORROWLAND(トゥモローランド)」に勤務。2010年、羽田空港の国際線の運航開始と同時に『Design Japan Culture』をオープンさせ、2016年、『KIRI JAPAN DESIGN STORE』としてリニューアル後はディレクターとして企画とバイイングを担当。1カ月の半分は日本全国の職人のもとを訪れて買い付けをおこない、店頭では職人から直接聞いた製品への想いやこだわりをお客様に伝えている。
https://kiri-japan.com/