栃木・小山で和服デートがしたいから。若手紬織士さんに本場結城紬の基本を聞く

栃木県小山市には、ユネスコ無形文化遺産に登録されている”結城紬(ゆうきつむぎ)”という伝統工芸があるらしい。JR小山駅前には、”おやま本場結城紬クラフト館”という着心地を体験できる施設もあって、着物のまま散策もできるとか。

ここまで聞いて、思ったわけですよ。「ここここれは、デートプランに使える……」って。気になるあの子と、結城紬を着てデート。いつもとは違った、意外な一面やギャップをあの子に見せつけちゃう。

そこで、着こなし方や選び方などのアドバイスを、小山で”紬織士”として本場結城紬の技術を学んでいる、今泉さんと澤田さんに尋ねてみました。

本場結城紬って?

©2018 小山市

——どんなときに着用するんですか?

今泉「食事やお買い物など、普段着としてご着用いただけます」

着物全般の格の中で、普段着に位置付けられている本場結城紬。でも、その気軽さが良いからといって、「今度、遊びに行こう。本場結城紬で!」なんていきなりデートに誘うのはちょっと唐突。そんな時は、イベントを活用しちゃいましょう。小山では、毎年11月中旬頃の”小山きものの日”に和装着用を推進するイベントがあって、着付け体験や産地職人による実演、抽選会なんかもあるんですって。この日を活かして、あの子に言っちゃいます。心を込めて、言っちゃうんだからねっ!

「一緒に結城紬、着よっ?」



——主にどの年代に利用されていますか?

今泉「利用が多いのは、50〜70代の年代です」

おぉ……。思ったよりも、上の世代の利用が多いみたいですね。今泉さん曰く、最近は若者向けの色やデザインのものも作られているとか。

それも見てみたいけど、従来の上品で大人な本場結城紬を身にまとったあの子も、見てみたいかな。「に、似合うかな?」って聞いてくるあの子をね。顔を赤らめながら、上目遣いで聞いてくるんでしょうね。それくらい、知ってるよ〜。



——着物に慣れていなくても、簡単に着ることはできますか?

今泉「本場結城紬は、職人がつむいだ”手つむぎ糸”を使っています。そのため着崩れしにくいので、着付け初心者の方にもおすすめです」

着物初心者にとって心配事のひとつは、”もし街歩き中に着崩れしたらどうしよう”。でも、着崩れしにくいのなら安心ですね。それに、”手つむぎ糸”で仕上がった本場結城紬は軽やかで着心地が良いので体へのおも〜い負担は少なそうです。

ところで、紬織士って?

本場結城紬の技を、若い世代に継承したい小山市。地元の職人さんたちの協力のもと、2014年度から、その技術を継承する新たな職種”紬織士(つむぎおりし)”の採用をしています。紬織士として研修中のお二人は、どんなことをしているのでしょうか。



——どんな研修をされているんですか?

澤田「20以上ある作業工程を覚えるための研修を、職人さんのもとで行ないます。今は、地機織り(じばたおり)を中心に学んでいます」

反物を織るだけでなく、重曹を入れたお湯で繭(まゆ)を煮て、重ね広げる”真綿かけ”から地機織りまでの全行程を覚えていくそうです。



——紬織士を志望した理由を教えてください。

今泉「大学時代に専攻していた、”染色”を活かしたいと思って志望しました」

澤田「学生時代は、”被服”について幅広く学んでいました。特に着物分野を専門的に学んだので、それを活かせることをしたいと思ったことがきっかけです」

もともと、服飾に関することを専門にされていたんですね。



——小山の伝統ある織元での研修を通して、印象に残っていることはありますか?

今泉「”自分は一人前と思ったらそこで終わりだよ”という、職人さんの言葉が印象に残っています。職人の方たちの、ものづくりに対する向上心や真摯な気持ちがあるからこそ、高度な技術が継承されているのだと感じています」

技術だけでなく、職人さんの気持ちや姿勢を見ることができるのは貴重ですね。



——本場結城紬の好きなところを教えてください。

澤田「手作業で作られているので、ふんわりしていて温かみのあるところが好きです」

本場結城紬は、全作業を職人さんの手作業で行われているところが魅力なのだそうです。



——今後の抱負を教えてください!

今泉「技術を学んで、いずれは指導者として本場結城紬の伝統技法を次の世代に伝えていきたいです」

澤田「製作工程を、正確に覚えることが目標です。そして、技術を習得して本場結城紬の良さを若い世代に伝えていきたいです」

紬織士の技術習得研修は、今泉さんが5年目、澤田さんが1年目。お二人とも、日々技術の習得に打ち込んでいるそうです。

結城紬よ、僕に力をくれ

——本場結城紬を着て巡る、インスタ映えスポットを教えてください。

今泉「春になると、ソメイヨシノや思川桜が満開になります。桜のシーズンに、本場結城紬を着て市内を散策して欲しいですね」

せっかく本場結城紬を着てデートするんだから、一番映える場所で写真撮影をしたいですよね。JR小山駅から徒歩10分の”城山公園”は、桜の名所として人気みたいですよ。また”須賀神社”も、本場結城紬と雰囲気がマッチしているから街歩きスポットとしておすすめらしいですよ。

カメラを片手に、あの子のベストショットをパシャり。こんな街歩き体験は、お互いにきっと初めて。ほどよい緊張感を共有しながら、距離をぎゅっぎゅっぎゅっと縮められるはず。

今泉「ちなみに、クラフト館のあるロブレビルには、映画館やパンケーキ屋さんもあるので、デートスポットとしてはこちらもおすすめです」

そ、それは知りませんでした。あの子に思いを伝えるなら、どこが良いんだろう。もっと小山について調べないと、告白ベストスポットはみつけられそうにありませんね。

「僕らの未来を一緒につむいでいこうゼ」

 

セリフの準備は、もうできてるんですけどね。

おやま本場結城紬クラフト館

住所:栃木県小山市中央町3-7-1 ロブレビル1F
TEL:0285-32-6477
営業時間:9:00〜18:00
定休日:12/30~1/1休館、月曜日は館内見学・販売のみ

(※着心地体験は、一週間前までにお電話にてご予約ください)

Top image: © 2018 小山市
取材協力:小山市
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