男性学のプロが語る「40男こそ夢を持つべきワケ」とは?

男性学の第一人者である田中俊之さんは、30代後半〜40代前半の男性、つまり「40男」こそ夢を持つべきだと言います。きになるその理由とは?

彼の著書『〈40男〉はなぜ嫌われるのか』より、その謎を解き明かしていきましょう。

「少年時代の夢が
叶わなかった未来」を
生きている

子どもの頃、どのような夢を描いていただろうか。正月に「夢」という一文字を半紙いっぱいに筆で書いた。そんな思い出が蘇る40男もいるはずだ。少年は夢を抱くべきだとされてきた。それも、プロ野球選手や宇宙飛行士のように、非現実的であればあるほど大人からは褒められた。だから、僕らは無謀な夢を抱き、そして、純粋に夢を信じていた。

ただ、ほとんど全ての40男の夢は実現しなかった。この端的な事実を受け止めなければならない。プロ野球選手は論外としても、この歳になってから、漫画家やゲームを実況するユーチューバーに転向するのは不可能である。現実を直視しよう。40男は少年時代の夢が叶わなかった未来を生きているのだ。

そもそも、これまで抱いた夢は
すべて他人事だった?

いや?冷静になって考えてみれば、この40年の間に抱いてきた夢は、そもそもすべて他人事だったのではないか。より正確に言えば、これが夢だと差し出されたものを、素直に受け取り、自分の夢として大事にしていただけなのではないだろうか。

少年の頃のスポーツ選手や宇宙飛行士だけではない。大人になってからの出世やマイホームといった「現実的」とされる夢でさえ、誰かに押し付けられたものでしかない。出世競争に明け暮れたり、住宅ローンを返済しながら「本当にこんなことがしたいの?」と疑問に思ったことは一度や二度ではないはずだ。

自分の頭で考え、思考錯誤し、生き方を見つけることができなければ、出世レースを続けていようが、「普通」の人生を歩もうが、「普通」から逸脱しようが、まったく同じである。漠然と何かが違うと感じながら、その原因が分からないまま生きていくことになる。あまりに手ごたえがなく、不安なのは当然だ。

40男よ、
今こそ夢を抱くとき

だからこそ、40男は夢を持つ必要がある。自分がどのような人間なのかを理解し、自分がなにをしたいのかを考える。若者なら照れてしまうところだが、40男なのだから恥ずかしがることはない。とっくに人生について真剣に考えることが許される年齢になっている。自分に正面から向き合えないほうがよほど恥ずかしい。

会社を辞めて起業したり、有名人になったりといった逆転満塁ホームランを狙わなくていい。ここで言いたいのはそんなことではない。叶いもしない無謀な子どもっぽい夢ではなく、構想があり、実現に向けた計画が練られている「大人の夢」を持って欲しいのである。

他人からの「夢」ではなく
自分の「夢」を

いまの仕事を続けながらでも、夢を持つことはできる。管理職に就いた友人が「自分の部署では、定時に帰れる体制を作るように努力したい」と言っていた。長時間労働は問題だと指摘されて久しいが、改善の兆しはなかなか見られず、ある意味で「仕方がないこと」として放置されてきた側面がある。

つまり、じつは問題として十分に認識されていないことが、長時間労働の最大の問題なのである。他の部署や取引先との関係もあるから実現は容易ではないだろうけれど、素晴らしい夢だと思う。

資格の取得や副業を持つのも、ひとつの手だろう。ユーキャンのWEBサイトで40代の男性に人気の通信講座を調べたところ、1位:行政書士、2位:宅地建物取引士、3位:ファイナンシャルプランナーという結果だった。こうした資格の取得がすぐに副業につながるとはかぎらないし、会社が副業を認めていない場合もあるだろう。それでも、資格の取得によって仕事の幅が広がる可能性は高い。何より勉強に取り組むことで知的好奇心が充たされるはずだ。

夢は他人から与えられるものではない。自分で創造するものだ。

『〈40男〉はなぜ嫌われるか』(著:田中俊之)

「アラフォー」などという生易しい呼び方はやめようーー。この本では30代後半から40代前半までの男性を「40男」と呼び、彼らのリアリティと現実のギャップを痛快に解説!「昭和的男らしさ」と「平成的男らしさ」の狭間を生き、「若いですね」と言われたい中年男たちの正体とは?

TABI LABO この世界は、もっと広いはずだ。