友情が成功を導いた、車椅子の親友との500マイルトレッキング
山や川、砂漠をも越えて500マイル(約800km)のトレッキング…と聞いたらそれだけでも大変そうですが、もしもそれを車椅子で達成するとしたら?
米・アイダホ州の親友同士がこの過酷な挑戦を決意し、見事に達成しました。成功の秘訣は、ふたりの固く結ばれた友情。彼らの旅の軌跡を辿ってみましょう。
生まれたときから一緒の親友が
41歳から車椅子に
Justin SkeesuckとPatrick Grayは、生まれたときからずっと一緒でした。両親が同じ教会に通っていて、中学校も高校も同じ。
でも、そんなふたりが41歳のとき、転機が訪れます。Justinが神経筋疾患である「多巣性運動ニューロパチー」と診断されたのです。アイス・バケツ・チャレンジで認識が広まったALSとも似た症状で、体を自由に動かすことができなくなります。
そこから、彼の生活は一変。車椅子生活を余儀なくされ、日常のことも自分ひとりではできなくなってしまいました。そんな彼を支えたのは、妻と、親友のPatrickでした。
スペイン随一の巡礼路を
トレッキングしたい!
Justinはある日、テレビでサンティアゴ・デ・コンポステーラの巡礼路を辿るトレッキングの様子を見かけます。キリスト教の聖地でもあるスペイン北部を通るこの巡礼路は、およそ500マイル(約800km)。
世界遺産にも指定されている道を通るトレッキングに、Justinはこう思いました。
「自分も挑戦してみたい」
「どうしてもやりたい! と思ったんだ」
彼の決意は本物でした。そして親友の夢を応援することに、Patickも迷いはありませんでした。
2013年に計画を始め、1年間のトレーニングを経て、2014年にふたりのトレッキングはスタート。
たくさんの巡礼者に
支えられながら…
万全の準備で臨んだとはいえ、旅の初めはやはり緊張していたそう。それでも、次第にこの貴重な体験を楽しむ余裕が出てきたと言います。
ただでさえハードな巡礼路。その途中では、同じ道を歩くたくさんの巡礼者たちに助けられたのと言います。
「100人以上の巡礼者たちの善意の手と、それから心に、助けられたよ」
長い長い巡礼路の過酷な旅は、ふたりにとってまたとない出会いの体験にもなったようです。
ふたりの体験は『I'll Push You: A Journey of 500 Miles, Two Best Friends, and One Wheelchair』という書籍にもなりました。秋には映画の公開も控えているそうです。
「ワクワクしすぎて、みんなに伝えずにはいられなかったよ!」