とある男性が、北海道の小さな町で「木の車椅子」を作り続ける理由
北海道札幌市の隣町、当別町。『家具工房旅する木』の須田修司さんは、この町にある廃校になった小学校の校舎で、オーダーメイドの家具を作っている。
工房は50年前に建てられた体育館。冬は雪に埋もれる
現在、須田さんが精力的に取り組んでいるプロジェクトがある。それは、「木の車椅子」の製作。
「木の車椅子」試作初号機
木の温もりと癒やしの効果は
代用が利かない
「車椅子ユーザーにとって、車椅子は自分の体の一部です。それなのに、機能重視で味気ないデザインの、金属製のものがほとんど。温もりのある木で、丁寧にデザインされた美しい車椅子を使ってもらえたら」と須田さん。
須田さんは、毎日、真摯に木と向き合っていると、素材の温もりと癒しの効果は、他の素材では代用できないことを実感するという。「『ああ、生き物を扱っているんだなぁ』という感覚があります」。
今では失われつつある伝統的な技術で、心を込めて家具を作る
須田さんは、ユーザーに木の車椅子を使ってもらうことで、以下のような効果を期待しているという。
①ステータスを感じ、人に見せたくなることで、より一層の社会生活への積極的な参加を促す②バリバリと活動している姿を周りの人が目にすることで、「格好いい、負けていられない、あんな生き方をしたい」と自分を見つめ直し、勇気づけられる
製品化に向けた
試作品づくりに奮闘
車椅子の製作は、普段作っている家具とは勝手が違い、苦労の連続だという。これから着手するのが、試作4号機の製作。しかし、乗り越えるべき壁というのが、今まで以上に険しい。
「大きな欠陥を修正するのは、意外と簡単ですが、細かな部分を修正したり、原因を突き止めて潰していく作業の方が、ずっと大変なんです。バランス、強度、デザイン、精度、木という素材の限界…に挑むことになります」と、須田さん。
平面でデザインを起こし、1/5の模型を作り、色んな角度から美しさを確かめる。
試作4号機は完成度の高いものが仕上がると予想。試作5号機、6号機を経て、2016年秋~2017年春には製品化を発表する予定だ。製作資金については、現在、クラウドファンディングサイト「READYFOR」のコチラのページで募っている。
コンテンツ提供元:READYFOR