冒険野郎たちが憧れるホステル。北海道・札幌の「サッポロッジ」で一杯やるべし
ある者は、冬山のガイドをしてもらいたくて。
ある者は、弟子入りをしたくて。
北海道の札幌にある小さなホステル「SappoLodge(サッポロッジ)」には、名指しで電話が頻繁にかかってくる。「奈良亘さんは、いらっしゃいますか?」と。
サッポロッジは、冒険の扉なのだ。
札幌のホステルといえば
やっぱり「サッポロッジ」だ
ある札幌のホステルを取材したときに、こんな話が出た。「サッポロッジくらいコアなホステルにしたいと思っています。サッポロッジは僕らの憧れなんです」と。それほどまでに人を惹きつけるホステルであり、その求心力はオーナーの奈良亘さんにある。
「今まで、グリーンランドや、パタゴニア、アコンカグア、いろんなところに遠征に行きました。僕らがやってきたのは、バックカントリースキーやスノーボードで、誰も滑ったことがないところを滑りにいくっていう遊びです」
「仕事なんてしてるヒマないんだよ」
「この写真集『グリーンランド』は、僕ら『なまら癖-X』というチームで作ったものです。よくわかりやすいので見せたいのですが、これは写真家を連れていってなくて、自分たちで撮影しています。この写真で滑ってる彼らは何日もかけて頂上を目指すわけですが、写真を撮るほうも反対側で同じことをしているんです。僕らが滑るのは、ほとんど未踏のところ。写真家を連れていかなくても、写真は生きてしまうんですよね」
サッポロッジに行って奈良さんと話せる機会があったら、最高に楽しい時間が過ごせることは間違いない。サハリンにカヤックで遠征した話、マッキンリーを制した話——。奈良さんは、第53次南極越冬隊にも選抜されていて、1年4ヶ月を南極で過ごしている。厳冬のなか、研究者たちをサポートする役割だったそうだ。
サッポロッジは、ガイドオフィスも兼ねている。エントリーユーザー向けの登山ガイドも、超ハードな秘境ツアーのガイドも依頼できるが、申し込みはお早めに。特に冬山の依頼は、ここ数年予約でいっぱいだ。
ホンモノの食材が揃うバーで
「ほたてとジンギスカン」
サッポロッジは、ホステルであると同時にバーでもある。これが、宿に付属する小さなバーだと思うなかれ、北海道中から “ホンモノ” の食材が集まるのだ。
「少し前に始めたんだけど、うちの会社は有給休暇とは別に10日くらいアウトドア支援休暇を与えるようにしているんです。うちは旅人の宿だからね、そのための感覚を養ってもらいたくて。料理担当のスタッフは、佐渡島とか東北のほうへおいしい料理を探す旅に出ました。もうひとりのシェフは、来月台湾に行って小籠包を突き詰めて帰ってくるって言ってます。おもしろいよね」
と奈良さんは笑う。「僕は今度、その制度でサーフィンに行ってくるつもり」。ただのサーフィンではなく、1週間海の上に滞留しながらずっとサーフィンをし続けるそうだ。
これらすべて、そして生ビールにすら物語がある。ぜひ、サッポロッジで一杯やるときには、一つひとつ謎を解き明かしてみてほしい。
サッポロッジは
「世界の交差点」
いま北海道は、空前のインバウンドバブル。当然このサッポロッジにも外国人が押し寄せるし、3度訪れている僕も、3度とも外国人と交流している。
だけど、サッポロッジはそれにとどまらない。ホステルといえば遠方から来た人たちが集まっているのが普通だけど、ここは札幌住民が一杯やりにくる場所にもなっているのだ。すすきのから少し離れた場所にあり、吞み疲れてから足を運んでくる人もいる。
サッポロッジの不思議なところは、そういった札幌で日常を過ごす人と、旅人として過ごす人のごちゃ混ぜ感が、とても普通の時間として流れていることだ。ある外国人は、お風呂上がりのスウェット姿でビールを飲みながらペーパーバックをめくり、あるビジネスマンは小上がりでくだを巻いている。
「今までは旅に行っていろんな人と会うのが楽しかったけど、この場所を作ってからは勝手にいろんな人がやってくるっていうね。これがおもしろい。未知の世界や、食べたことないもの、滑ったことのない斜面、会ったことのない人、そういうものを小学校時代から求めていた気がする。幸せだね、そういうの作りたかったからさ」
「SappoLodge(サッポロッジ)」
住所:北海道札幌市中央区南5条東1丁目1-4
TEL:011-211-4314
公式HP:http://www.sappolodge.com/
公式SNS:Facebook、Twitter、Instagram
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