札幌の旅はここから。北18条のコミュニティハブ「アンタップトホステル」へ

ホテルやホステルを、ただ泊まるためだけの場所としてではなく、人を繋ぐコミュニティの中心として考えること自体は、決して新しくはない。1999年にアメリカ・シアトルで創業したエースホテルはそういった考え方を取り入れ、ホスピタリティ産業に大きな影響を与え、2010年代のウエストコーストカルチャーを牽引した。

同じように新しいコミュニティ・カルチャーが、北海道・札幌市の北18条駅付近に芽生えはじめている。その震源地と言えるのが「UNTAPPED HOSTEL(アンタップトホステル)」だ。

A面がポートランドで
B面がブルックリンみたいなホステル

©2018 inagaki masanori

扉を開けると、居心地のいいレストランになっている。ここは、札幌でもハイソなエリアとされる円山から引っ越してきた「ごはんや はるや」だ。アンタップトホステルのなかで運営されていて、その脇にあるのが、目当てのホステルのカウンター。

かつてバーカウンターとして長年使われてきた、重厚な木材を再利用した店構え。質のあるものを見抜き、現代に再解釈してフィットさせる手法に、ハンドメイドカルチャーが根付くポートランドのホステルを思い出した。

©2018 inagaki masanori

かと思えば、ビルの奥には別棟の民家がある。

こちらが、アンタップトホステルの「B面」だ。夏になれば、カウンターごしにBBQがたしなめるという、「A面」とはまったく違う世界観だ。

©2018 inagaki masanori

別館のラウンジには、DJブースが備わっている。A面のポートランドに対して、こっちは常に何かが生まれているブルックリンのようだ。多様性と人々の息づかいを感じさせる。

確かにここなら、いろいろな人が集まってきそうだ。アンタップトホステルのオーナー、神輝哉さんは「ここをきっかけにコミュニティが生まれたら嬉しいですね」と笑う。

アンタップトホステルには
「街遊びの価値観」が溢れている

©2018 inagaki masanori

神さんは現在、38歳。

「若いとき、街で遊ぶことが多くて、いつもぼんやり自分の場所を持ちたいなと思っていました。居酒屋でもバーでも良かったんですが、自分のスキルを棚卸ししてみたら宿がちょうどハマった、という感じでしょうか」

うなぎ屋を改装したというアンタップトホステルの内装は、落ち着きはじめた30代の感性にマッチする。このテイストは、神さんの遍歴に結びついているという。

「新しい感じ……未開拓、まだ見たことのないものに触れられる、そんな意味をこめてUNTAPPED(未開発の、という意)と名付けました。僕らの世代って、まだ成長を止めたくないし、完成されたものに価値を感じないというか……。自分が10代や20代の頃に触れてきた音楽を中心としたカルチャーをベースにしつつも、そこだけじゃなく解き放たれた間口の広い宿として利用してもらいたいと思っています

立ち上げ期の2014年頃の札幌では、神さんもリスペクトしているという「サッポロッジ」などを中心に一気にホステルが増殖。今では数十もあるという。

「30代のオーナーが頑張ってる
いいお店が増えました」

©2018 inagaki masanori

アンタップトホステルの最寄り駅は「北18条駅」。神さんは、特にこの土地に思い入れがあったわけではないという。

「物件ありきですね。大きさや、予算や、法規を照らし合わせていったらここが残りました。札幌駅の北口から北18条駅までが一円のエリアだと思うんですが、いまは『時計のない喫茶店』『みち草バザール』『ハヤシ商店』『ログ』など、30代のオーナーが頑張ってるいいお店がたくさん増えました。『アンタップトホステルがあるからこの辺に店を構えたんだよ』と言ってもらえることもあって、とてもうれしいです」

神さんが街遊びで作ってきたコミュニティは、札幌市内に点々としている。

札幌駅の南側に広がる「いなたいエリア」や、中央の「きらびやかなエリア」、そしてこの北側で芽吹きつつある「落ち着いたエリア」。これらがつながっていくことで面白いことができたらいいですね、と神さん。

日本随一の観光都市、札幌において「点」のひとつを担うこれからのホステルの形に期待せずにはいられない。

©2018 inagaki masanori
コミュニティの一員であり、ホステルの従業員。北海道のロードバイクチャンピオンとのことだ
©2018 inagaki masanori
カーシェア、レンタル自転車なども完備。北海道ツーリズムのベースになる

「UNTAPPED HOSTEL(アンタップトホステル)」

北海道札幌市北区北18条西4丁目1-8
TEL:011-788-4579
公式HP:http://untappedhostel.com/
公式SNS:FacebookTwitterInstagram

Top image: © inagaki masanori
街の本屋さんが次々と灯りを消していくなかで、個性を出しながら本好きの心を奪う店が増えてきている。北海道・札幌の北18条にある古本屋「BOOK LAB.」も...
北海道・札幌の北18条駅付近で朝ごはんを済ませようとカフェ「CITY OASIS」に入ったら、コーヒーとお粥のセットが目に入った。いまや和食にコーヒーを合...
ある者は、冬山のガイドをしてもらいたくて。ある者は、弟子入りをしたくて。北海道の札幌にある小さなホステル「SappoLodge(サッポロッジ)」には、名指...
北海道の“かわいいおみやげ”の代表格「小熊のプーチャンバター飴」。大正十年(1921年)創業の老舗「千秋庵」の「北海道らしいかわいい熊の飴を作りたい」とい...
2019年12月6日〜2020年3月2日、「d47 MUSEUM」にて「着る47展」開催。
地図や鉄道関連の本に多く携わってきたフリーライターの今尾恵介さん著書『番地の謎』(光文社)では、日本の住所表記について掘り下げ、歴史や傾向について詳しく紹...
「北海道=大自然」と言われて反対する人はいないと思いますが、そんな広大な土地を生かした「国立公園」の存在については、意外と知らない人も多いのではないでしょ...
大学の長い長い夏休みを終えたばかりの友人に、リピートせずにはいられないゲストハウスがあると聞いて、紅葉の秋も終盤にさしかかった北海道へ飛んだ。向かった先は...
北海道・遠軽の「ハナノ工場」は日本初の動物寄木細工専門店。寄木細工というと、少しお堅い伝統工芸品をイメージしてしまいますが、同工場の作品はペンギンやクマな...
北海道札幌市の隣町、当別町。『家具工房旅する木』の須田修司さんは、この町にある廃校になった小学校の校舎で、オーダーメイドの家具を作っている。
「LEMON by Lemonade Lemonica(レモン)」が渋谷駅西口に開業した「渋谷フクラス」1Fに12月5日、グランドオープン。
札幌市内から北へ20キロほど、石狩郡当別町に冬季限定で登場する氷と雪でつくられた神秘的な空間がある。切り出した氷を積み上げる、北欧のアイスホテルをそのまま...
ウニやイクラ、鮭フレークなど、海鮮系のご飯のお供が目白押しの北海道で、少し変わった山の幸とも言えるのが「山わさび醤油漬」。白いご飯に乗せてひとくち頬張れば...
北海道のまんなかにある、大雪山。かつてアイヌの人たちはこの山をカムイミンタラ(神々の遊ぶ庭)と呼び、聖地として大切にしてきました。そんな大雪山と石狩川に挟...
サッポロビールが取り組む「ほっとけないどう」プロジェクトの一環として、札幌市の常設BARでスタートした「カンパイ・ファンディング」。乾杯分の売り上げの一部...
去る2月11日に閉幕した第67回さっぽろ雪まつり。多くの作品が人々を楽しませたなか、特に注目を集めたのが、「Hokkaido Shinkansen-Sup...
覆面アーティスト、バンクシーのデザインを採用したアートパネル型Bluetoothスピーカーが登場。高音質で音楽が楽しめるだけでなく、インテリアにもピッタリ。
昨年35,000 人が来場した日本最大級の文具の祭典「文具女子博」の今年のテーマは「文具浪漫」。ここでしか買えないアイテムを含む約50,000点を揃えるほ...
日本全国のホステルで使える泊まり放題のパス「ホステルパス」の予約受付が10月からはじまりました。日曜日〜木曜日の間のみ使用できる年間パスは18万円(月15...
京都のモダンホテル「麩屋町二条」は、ワコールがプロデュースしている「京の温所」という宿泊施設のひとつ。「カリモク家具」で統一された室内は、最大8名まで利用...
元々ビスケット工場だった、アイスランドの世界最北の首都レイキャビクにあるホステル「KEX」。随所に当時の面影が残っています。レトロな雰囲気を味わえる空間が素敵!
北海道幌加内町の北部にある「朱鞠内湖(しゅまりないこ)」は、気象庁非公式ながらも、過去にとんでもない記録を叩き出した模様。なんかもう、書くだけで寒気がする...
昨年11月にオープンしたメムアースホテルは、建築家・隈研吾氏がアイヌの伝統民家チセをモチーフにして設計した実験住宅「メーム」に泊まれるだけでなく、十勝地方...
高校生が制作した、乗車マナーの向上を呼びかけるポスターが、ちょっとした話題を呼んでいます。“学生目線”で大人のマナーを指摘するその内容は、的を得ていて深く...