オトナの勉強に必要な「捨てる記憶術」って?
タイトルを見て頭に「?」が浮かんだ人も多いかもしれません。記憶したいのに捨てる…とは、一体どういうことなのでしょうか。
高校生の頃、偏差値が29だったという杉山奈津子さん。そんな彼女が東大に行こうと決心し、追求したのが「いかにラクをしながら多くのことを覚えるのか」という勉強法でした。
書籍『「捨てる」記憶術』には、杉山さんが当時編みだした実践的な勉強術が公開されています。大人になってから勉強や試験に取り組んでいる人は必見です。
01.
間違いを活かす「○△×復習法」
復習が不要なものを捨てる
受験勉強で一番大事なのは、復習です。しかし、1度勉強したことをまた最初からやり直すのは時間のムダ。「時間対効果」を最大にするには、復習の工夫が必要です。
そこで考えたのが「復習する必要のないものを徹底的に捨てる」という『○△×復習法』です。
やり方は簡単。問題を解いているときに、復習が必要なものとそうでないものを区別するために○△×のマークをつけるだけでいいのです。
その基準は以下の通り。
○……正解だと確信がある問題。これはできるので捨てる。
△……だいたい合っているが、解き方に自信がない問題。復習が必要。
×……解き方も答えもわからない問題。最優先で復習が必要。
問題に「○△×」と印が付いているので、復習するときにとても便利です。ぜひ利用してみてください。
02.
「間違いノート記憶術」で
キーワード以外は捨てる
間違えたところを復習するために「間違いノート」を活用していました。これは、問題集を解いたときに、何度やっても間違えるところを書き留めたノートのことです。
間違いノートで大事なことはひとつ。
間違えた問題文をそっくり写すのではなく、キーワードのみを書くことです。間違ったところはキーワードを書いておけば思い出せる場合がほとんどです。いちいち問題文を書かなくても、そうした方法でイメージを引っ張ってきて思い出したほうが、はるかに脳を鍛えることになります。
間違いノートは動詞を捨てる。つまり、長ったらしい文を書かないことが大切なのです。
03.
「書きなぐり記憶術」で
書いては捨てる
物事を記憶する術として、人間の根源的な力に頼る「書きなぐり記憶法」があります。
単語を覚えるには、何度も繰り返して書きなぐる必要があります。ノートでもチラシの裏でもかまいません。ほかの人に見せるわけではないので、どんな汚い字でもOKです。
私は、書くことに加えて声に出して覚えていました。声を出せば当然それが耳から入ってきます。つまり、視覚、触覚、聴覚など五感を駆使して覚えるおかげで、強烈に記憶に刻まれるのです。
ここで大切なのは、書いて覚える必要のない単語や用語は捨てること。それは時間のムダです。
04.
「サンドイッチ記憶法」で
効率的に勉強する
脳の状態と記憶力の良し悪しとは、深い関係があります。
何時間も勉強を続けて脳が疲れているときに、複雑な応用を考える問題を解こうとしても、なかなかできないものです。
「きちんと勉強しているのに、なかなか頭に入らない」と感じたら、勉強の内容と脳の状態がマッチしていないのかもしれません。頭の中がすっきりしている状態と疲れている状態では、同じ勉強をするにしてもそれぞれ向き不向きがあるのです。
何か新しい企画を考えるには、頭がすっきりした状態でなければいい発想は生まれません。しかし単語を覚えるのは勉強の中でも「作業」に近いものだと思います。脳を駆使して積極的に考えるという必要はなく、次から次へと頭に放り込むような受け身のイメージです。むしろ、単調だからこそ頭が疲れたときに適した勉強だといえるでしょう。
難しいことを考える勉強の間に、記憶主体の勉強を挟む。これが、脳の性質を考えて効率的に記憶する「サンドイッチ記憶法」です。
もちろん勉強ではなく、読書や音楽鑑賞をはさんでもOK。とにかく「脳の違う部分」を使って休ませることが大切です。
05.
スマホを活用した
「待ち受け画面記憶法」
受験生のとき、重要なのになかなか覚えにくい情報は、なるべく目に触れるようにしました。
たとえば、参考書の1ページ目に覚えるべきことを書いたのです。
最初のページならば、参考書を開くたび目に入ります。覚えるべきことに触れる機会が増えれば、それだけ記憶に残りやすいのです。
今の時代ならば、覚えたいことをスマホの待ち受け画面にしておくのもいい手でしょう。イヤでも目に入ります。これならば仕事の休憩中や移動中でも見ることができますよね。