「睡眠偏差値」底辺の日本人。体感と現実のギャップに潜む危険信号

「最近、睡眠不足だな……」と感じているアナタ。本当に必要な睡眠時間は確保できているだろうか?

脳と睡眠を科学するソリューションカンパニー「株式会社ブレインスリープ」が、実施した最新調査「睡眠偏差値®」によると、日本人有職者の約7割が睡眠時間が「短い」と感じているという結果に。忙しい毎日のなか、ついつい後回しにしがちな睡眠だが、その認識の甘さが思わぬ落とし穴に繋がるかもしれない。

日本人の平均睡眠時間
OECD平均には遠く及ばず

同調査によると、2025年の日本人有職者1万人の平均睡眠時間は6時間50分。5年前と比較すると16分増加しており、コロナ禍による影響で在宅勤務が増加した人が、通勤時間の削減によって睡眠時間を確保しやすくなったという背景が考えられる。

しかし、経済協力開発機構(OECD)加盟国の平均睡眠時間8時間28分と比較すると、依然として日本人の睡眠時間は短いと言わざるを得ない状況だ。

©株式会社ブレインスリープ

「もっと寝てるはずなのに……」
23分の誤解が命取りに!?

さらに恐ろしいのが、実睡眠時間と体感睡眠時間のギャップだ。

同調査では、約半数の人が「実際の睡眠時間よりも、体感睡眠時間の方が短い」と回答しており、その差は平均で23分にも及ぶ。これは「睡眠状態誤認」と呼ばれ、自覚のない睡眠負債を抱えている可能性を示唆している。

近年、睡眠不足が集中力や判断力、創造性などの低下につながり、仕事のパフォーマンスを大きく左右することが明らかになっている。睡眠不足が続くと、脳の疲労が蓄積され、倦怠感や集中力の低下、イライラしやすくなるなどの症状が現れる。このような状態では、質の高い仕事をすることは難しく、生産性の低下につながりかねない。

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仕事終わりのその一杯
本当は睡眠時間を削っている……

仕事後の過ごし方にも、睡眠負債のリスクが潜んでいるという。調査で「定時後に最も優先したい行動」を聞いたところ、「睡眠」と回答した人がもっとも多く36.4%という結果だった。しかし、現実には「仕事(飲み会を含む)」を優先している人が25.2%ともっとも多く、理想と現実のギャップが浮き彫りになった。

仕事終わりの飲み会や残業は、職場の人間関係を築いたり、キャリアアップを目指したりする上で重要な役割を果たすこともたしかにあるだろう。しかし、それによって睡眠時間が削られ、健康を害してしまっては……元も子もない。

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満員電車に揺られる3時間
体は“休息”を求めている

さらに、通勤時間と睡眠の関係も見逃せない。同調査の結果、通勤時間が長い人ほど睡眠時間が短くなるだけでなく、睡眠の質も低下することが明らかに。

「睡眠時間」がもっとも長いのは通勤時間が「30分未満」の群で6時間58分、最も短いのは「3時間以上」の群で6時間24分で34分の差が出た。通勤時間の長時間化は、睡眠不足に拍車をかけ、心身に悪影響を及ぼす可能性があるのかもしれない。

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働き方改革の次に来るのは「睡眠改革」?

今回の調査結果から、日本人の睡眠時間は依然として短い水準にとどまっており、年代やライフスタイルによっても、睡眠時間に大きな差があることが浮き彫りになった。

ブレインスリープ最高研究顧問の西野精治氏は、今回の調査結果を受けて以下のようにコメントを残した。

「睡眠課題は、個人だけで解決することは困難なことも多く、企業や政府が行っている睡眠課題解決に向けた社会的な取り組みがより一層推進されることを期待しています」。

睡眠は、心身の健康やパフォーマンスに大きな影響を与える。企業は、従業員の睡眠をサポートする福利厚生制度を導入したり、働き方改革の一環として睡眠時間確保の推奨など、積極的に取り組んでいく必要がありそうだ。

出典元:「睡眠偏差値®2025」ブレインスリープ調べ

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