ショートスリーパーになれる?短時間睡眠の危険性【睡眠の専門家監修】
目次
睡眠時間が短くても、なんの問題もなく通常通り活動ができるショートスリーパー。自由に使える時間が増えるのですから、自分もショートスリーパーになれたらなと思っている人もいることでしょう。
そこで今回は、上級睡眠健康指導士の加賀照虎先生に、ショートスリーパーになることができるのかをインタビューしてみました。より正確な情報を求めている方はぜひ参考にしてください。
この記事でわかること
1. ショートスリーパーとは
2. ショートスリーパーの健康リスク・危険性
3. ショートスリーパーになることはできるのか
4. 睡眠のタイプについて
5. 短時間睡眠になれることはできるのか
6. 世界の睡眠時間は短くなっている
7. まとめ
ショートスリーパーとは?
──ショートスリーパーという言葉は聞いたことがありますが、具体的にはどのような人なのですか?
わかりやすく説明すると6時間未満の睡眠でも、起きるのが辛くない、日中の眠気を感じない、昼寝も必要ない。そんな方がショートスリーパーです。
無理をしているのでも、慣れでどうにかなっているわけでもなく。ショートスリーパーにとっては6時間未満の睡眠が僕たちの8時間程度の睡眠に匹敵するのです。
──自分自身、一般的な睡眠タイプ?かなと思っているのでそんな人がいるなんて想像もつきません。
短い睡眠でも足りてしまう人がいるということは事実です。また、ショートスリーパーの人たちは起床がスムーズと言われています。
僕たちは最適な時間眠っても、朝起きるときは体が少し重たいですよね。徐々に起きているイメージです。しかし、ショートスリーパーの方はパチンとスイッチを切り替えるようにスッキリ起きるそうです。
──一般的な方とショートスリーパーの睡眠時間の対比は何対何くらいになるのでしょうか?
ショートスリーパーの方の睡眠時間も一般的な人と一緒に個人差があります。日本の平均が7時間半くらいに対して、4〜6時間くらいでしょうか。
ショートスリーパーの健康リスク・危険性
──ショートスリーパーであることの危険ってあるんですか?
それはないでしょう。さきほども解説しましたが、彼らの6時間睡眠は私達の8時間睡眠に匹敵します。そのため、睡眠不足の弊害が出る危険性はありません。
また、ショートスリーパーの方が遺伝子的に何かが劣っている、優れているということもありません。ただ短い時間で睡眠が足りてしまうという特徴のみです。
ショートスリーパーになることはできるのか
残念ながらショートスリーパー以外の方がショートスリーパーになることはできないんですよ。
カリフォルニア大学サンフランシスコ校のショートスリーパーに関する研究では、遺伝子の変容によってショートスリーパーが生まれていると発表されています。
遺伝子レベルで決まっていることなので、なりたくてなれるものではないということです。将来的に遺伝子操作の技術が発達すれば、可能性があるかもしれませんね。
睡眠のタイプについて
──他の睡眠タイプの人がショートスリーパーになることはできないとおっしゃいましたが、ショートスリーパー以外にどのようなタイプがあるのでしょうか?
ショートスリーパー、ロングスリーパー、あとは中間型のバリアブルスリーパーの3タイプがあります。ショートスリーパーって世の中に一定数いるイメージですが、ほぼほぼ100%はバリアブルスリーパーである可能性が高いです。
さらに細かく分けると、朝型夜型というタイプもありますね。例えば同じバリアブルスリーパーでも朝が苦手な人もいれば、夜が苦手な人もいます。朝型夜型もショートロングと同様に遺伝子による生まれつきの性質であると考えられています。
──ショートスリーパーの割合ってどれほどなのでしょうか?
一般的にショートスリーパーの割合は人口の5%〜10%と言われています。
ただし、この統計はショートスリーパーの方の割合ではなく、単純に睡眠時間が短い方の割合のようです。正直あまり当てにならないかなと......。
なので、本当はもう少し小さい割合なのかなと考えています。
──正確な割合は明らかになっていないのですか?
僕の中で信頼性が高いと感じたデータはアメリカの機関による「遺伝子が突然変異する確率」です。
そのデータによる突然変異の可能性は2.5万人に1人って言われているんですよ。ショートスリーパーの正体も遺伝子変容なので、割合としてはこのくらいなのかなって考えています。
5%〜10%は個人的には多すぎかなと。ショートスリーパーはこれだけ希少な存在であり、研究が進んでいないため、明確な割合まではわからないんですよ。
短時間睡眠に慣れることはできるのか?
──ショートスリーパーって自由に使える時間が多く魅力的だと思うんですよ。ショートスリーパーになることは難しいにしても、バリアブルスリーパーの中で極力睡眠時間を短くすることはできるのでしょうか?
んー、できないと僕は思っていますね。
入眠までの時間や日中の眠気をもとに、自分の最適な睡眠時間を調べる方法があり、現在の睡眠時間では寝すぎであると気づいた場合やや短くすることはできます。しかし、最適な睡眠時間を下回ることはかなりリスキーです。
イライラしたり、頭が回らなくなったりなど、日常生活に支障が出てしまうこともありますし、重度の場合健康被害が発生することもあります。
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ショートスリーパーに憧れるタイミングって、朝や日中に強い眠気を感じることであったり、休日寝すぎてしまったときだと思うんですよ。
──そうですね。6時間しか睡眠できず「眠いな」って思ったときや、休日寝すぎて「もったいないな」って思ったときに、自分がショートスリーパーになれたらなと感じます。
まず、最適な時間コンスタントに眠り続ける事ができれば眠気を感じることはなくなります(14時前後を除く)。短時間睡眠に慣れる方法よりも、睡眠時間を確保する工夫をしてみてください。
次に、休日寝すぎてしまうことは平日の睡眠が足りていないためです。睡眠負債という平日足りてなかった分のツケを精算しているだけで、決してあなたがロングスリーパーであるためではありません。これもコンスタントに最適な時間で眠ることができれいれば解決できます。
平日に8時間も睡眠時間を確保することは難しいかもしれませんが、最適な時間睡眠を取った方は覚醒度が高く、集中力も増すので、だんだん時間に余裕が出てくるはずです。
世界の睡眠時間はどんどん短くなっている?
ちょっと、余談になってしまうのですが時代によっても睡眠時間が変化しているのをご存知ですか?
──昔の人に比べたら、現代人の睡眠が短いのはなんとなく想像できます!
実はエジソンが電球を発明した瞬間から、徐々に睡眠が短くなっていると言われています。電球が発明される前は、夜は真っ暗で寝るしか選択肢がありませんでした。
データがあるわけではないのですが、電球が発明される前の人達にとって9時間10時間眠ることは当たり前だったようですね。
もしかしたら、新しい技術革新とかで今後も睡眠時間が減っていき、みんなが6時間程度の睡眠で満足できる時代になるかもしれません。
最後、少し話がそれてしまいましたが、今回は「ショートスリーパーになることはできない」ということを解説しました。
短い睡眠時間に慣れる努力ではなく、自分にとって最適な睡眠時間を毎日取る工夫をしてみてください。そうすれば辛い眠気を感じることも、休日に寝すぎてしまうこともなくなります。
まとめ
・ショートスリーパーとは、6時間未満の睡眠でも、起きるのが辛くない、日中の眠気を感じない、昼寝も必要ない人のこと
・ショートスリーパーの睡眠時間は個人差があるがだいたい4〜6時間といわれている
・ショートスリーパーは遺伝子の変容によってうまれるとされているため、後天的にショートスリーパーになることはできない
ショートスリーパーに関して、非常にわかりやすい解説をしてくれた加賀先生。
今回のインタビューを通して、ショートスリーパーの性質は遺伝子により決まっていることであり、後天的に身に着けられないものであることがよくわかりました。
短い睡眠時間でどうにかならないか、と解決策を探っていた方もショートスリーパーはなれないと割り切り、自分に適した睡眠時間を確保できるように行動を心がけることをオススメします。