現代人の切実なニーズ「旅先での休息」を叶える、スリープツーリズム

せっかく休暇をとって旅行に出かけたのに、疲労がたまって帰宅後ぐったり。これ、結構あるあるだと思います。せっかくの旅行なのに(せっかくの旅行だからこそ)、いつもより睡眠時間が短くなったり……。

そんなお悩み、どうやら世界共通のようで、近年はひたすら「ぐっすり眠ること」を旅の目的とした旅行スタイルが話題を呼んでいるのをご存知ですか?

“休息”こそ旅行なり。
日常に戻るための旅
「スリープツーリズム」

以下は、イギリスでの話ですが、オンライン旅行検索エンジン「KAYAK」の調査によると、同国ではおよそ39%の人々が休暇におけるもっとも重要なこと休息リラクゼーションを挙げ、およそ4人に1人が睡眠に焦点を当てた旅行を検討しているんだそう。

観光に勤しんだり食べ歩くのではなく、質のよい睡眠やリラックスした時間を過ごすことに特化した旅行──。2022年ごろに台頭した旅行トレンド「スリープツーリズム」がまさしくコレにあたります。

観光よりも休息に重きをおく人たちは、睡眠の質を高める設備を備えたホテルを選ぶ傾向が高いのも特徴です。こうしたニーズにホテル側も、高品質な枕やアメニティをはじめとしたツールの改善、さらには睡眠体験や健康を増進するための総合的なアプローチが求められてきました。

また、近年はより本格的に睡眠特化の休暇旅「スリープリトリート(sleep retreats)」にも注目が集まってきています。いくつかの限られたホテルが提供する滞在型のプログラムで、数日から数週間にわたって専門医とともに睡眠の改善に集中した休暇を過ごすというもの。疲れを取りたい人だけでなく、ストレスや不安による不眠症などの睡眠障害に悩む人たちのケアとしても活用されているそうですよ。

日頃の睡眠を見直す一環として、非日常体験のなかで睡眠にフォーカスすることで、心身のリフレッシュを図ることを目的としたスリープツーリズム。「疲れを取り除き、日常に備える」という意味において、じつに合理的な休暇あり方ではないでしょうか。

旅の目的は、十人十色。
旅行スタイルの細分化が進む

旅行の目的は人それぞれですが、どんな旅行にも共通するのは「心身ともにリフレッシュしたい」という思いではないでしょうか。コロナウイルスによるパンデミックを経て、ここ数年で旅行スタイルはじつに細分化されてきました。

ライブやフェスと旅行を掛け合わせた「ギグトリッピング」や旅をしながら社会貢献行動をする「貢献トラベラー」など、これまでご紹介してきた旅のあり方も、従来の観光目的とはひと味違った旅の楽しみ方に思えます。ニューツーリズムと呼ばれるこうした動きはこの先もっと細分化が進んでいくはずです。

時にはめいっぱい体を動かすことで日常を忘れたり、最高な環境で体を休ませたり。目的や気分によって自在に旅のかたちを変化させる。これこそが、令和の旅の楽しみ方なのではないでしょうか。

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TABI LABO この世界は、もっと広いはずだ。