日本には、過去一度も「ロストバゲージ」を起こしたことがない空港がある

大阪湾に位置する人工島に建設され、現在も主要な国際ゲートウェイとして機能している「関西国際空港(以下、関空)」。日本人はもちろんのこと、そのアクセスの良さから観光やビジネスの拠点として世界中から渡航客を迎え入れている。

そんな関空、じつは世界でもっとも安心して利用できる空港であることをご存じだろうか。

開港以来、「ロストバゲージ」ゼロ!

“もっとも安心”の根拠はなにか?

過日、「CNN」が報じたところによると、関空は1994年の開港以来、過去30年間一度たりともロストバゲージを起こしたことがない空港なんだそう。旅行中に預けた荷物が目的地に到着しなかったり、行方不明となってしまうアレだ。

海外渡航で実際にロストバゲージをくらった身(先だってはインディラ・ガンディー国際空港でとほほ……)からすると、これがどれだけ偉業であるかよく理解でき、「関空やべぇ!」となるわけである。

とはいえ、ロストバゲージ自体は技術向上と運用効率の改善によって、発生率は年々減少傾向にあるとのこと。それでも、2022年の世界全体のデータでは1000人の乗客あたりにおける荷物の遅延や紛失、損傷は約4.35件と、未だにかなりの確率で起きてしまうトラブルと言えよう。

ちなみに、関西国際空港の年間利用者数は、2023年には約3614万人。これだけの乗客が昼夜問わず空港を行き来しているにもかかわらず、30年間一度もミスをしていないなんて……関空スタッフの対応には頭が下がる。

関空・空港手荷物配送賞受賞も
「特別なことをしているとは思わない」

イギリスの航空ランキング評価サイト「Skytrax」は、今年4月に実施した世界最高の空港を決める大規模な調査にて、世界最高水準であることを示す「空港手荷物配送賞」を関空に授与。

栄誉ある賞に対し、関空広報担当の高西健治氏はこうコメントを残したそうだ。

「通常通り仕事をしてきた結果です。現場で働くスタッフはより満足していると思いますが、私たちとしては特別なことをしているとは感じていません」。

偉業達成にもこの謙遜ぶり。いや、これこそプロフェッショナルと思わしめるクールな姿勢がまた響く。

一般的に、ロストバゲージを含む荷物紛失などの問題は、どの国においても「航空会社の責任」とされるそうだが、日本はとりわけ航空会社と空港の連携・協力が上手く取れている国であることが伺える。

かくいう筆者も、今年初めにインド・ビカネール空港にてロストバゲージに遭い、3日間ほど手荷物だけで過ごしたという苦い思い出をもつ一人。無事スーツケースは取り返したものの、厳重なセキュリティで守られている空港での手続きは困難を極め、「もうダメか」と何度思ったことか……。今となってはそれも笑い話、旅の思い出のひとつだが。

魅力的な観光地として日本が好まれている背景には、こうした国の玄関口・空港のホスピタリティも大きく寄与しているのかもしれない。

Top image: © CatwalkPhotos/Shutterstock.com
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