不屈の精神を持つ偉人たちに学ぶ、「失敗」との正しい付き合いかた

成功と失敗は、隣り合わせです。どんなことでもまずは失敗から学び、成功への道を模索していくものですし、そこが運命の分かれ道でもあります。なかには諦める人もいるでしょうし、走り続けていく人もいるでしょう。

遠越段さんの著書『偉人たちの失敗』では、転んだときにどのように立ち上がればいいのか?が、偉人たちの言葉をヒントに軽快に紹介されています。

01.
失敗したときにどうするかで
その人がわかる

「予は常に青年の失敗を興味をもって見ている。青年の失敗こそは、彼の成功の尺度である。彼は失敗をどう思ったか、それから彼はどうしたか」

モトルケ(軍人/ドイツ)

モルトケは、ドイツ軍の作戦を立てる組織「ドイツ参謀本部」をつくりあげた人物。

モルトケの弟子には、メッケル少佐がいました。明治の日本は、モルトケ率いるドイツ陸軍の強さを見て、それまでのフランス式軍隊の養成をやめてドイツから学ぼうとしました。そこでモルトケは日本にメッケルを推薦したのです。

メッケルは日本の関ヶ原の戦いの布陣を見て「西軍の勝ち」と言ったそうです。しかし現実は東軍が勝利しています。西軍の実質的なリーダーである石田三成の判断の遅さ、人徳のなさから軍がバラバラになり、勝機を掴み損ねたのが原因でした。

後に、日露戦争が起きたとき、強大なロシア陸軍が優勢だというヨーロッパの予測に、メッケルは“日本陸軍が必ず勝つ”と断言。結果、大方の予想を覆して日本陸軍が勝利しました。物量では負けていたものの、判断の速さや兵卒の士気の高さでかろうじて日本が勝利したのです。関ヶ原の戦いのとき、人心掌握術の巧みさで徳川家康率いる東軍が勝利したのと同じように…。

モルトケがなぜメッケルを買っていたかというと、失敗したとき、間違ったときの反省力が高かったからだと推測されます。人は必ず失敗します。その失敗を次に生かせる人でないと、いい人材にはなりえません。

02.
お金に振り回されない
素晴らしき人生を

「人生は恐れなければ、とても素晴らしいものだ。人生に必要なもの。それは勇気と想像力、そして少しのお金だ」

チャールズ・チャップリン(映画監督/イギリス)

成功してお金持ちになった人は言います。

「お金はついてくるものだ。お金は目的ではない、手段だ。お金は必要なとき、必要なだけあればいい。お金より大切なものがある。それは愛だ」

お金というものは、本当にどうとらえていいか難しいものです。著者が大学生のころ、チャップリンブームの再来もあって、彼の映画を何度も見ていました。特に映画『ライム・ライト』の中での発言は、強烈な印象を与えてくれるものばかりでした。

「死と同じように避けられないものがある。それは生きることだ」

「私たちは皆、互いに助け合いたいと思っている。人間とはそういうものだ。相手の不幸ではなく、お互いの幸福によって生きたいのだ」

冒頭で紹介したのも、同映画の有名な言葉です。チャップリン自身も成功して大金持ちとなり、大邸宅を購入し、多くの人を雇いそこに住みました。ただ、いくらお金持ちになっても、お金そのものを増やしていくことに執着するほど愚かではありませんでした。

人生は楽しむべきです。そのためには、世の中の役に立ち、人のためになり、人が喜ぶ仕事をし、そのための苦労を楽しめるようになるほうがいいに決まっています。

03.
一番の喜びは
失敗を乗り越えること

「幸福になる秘訣は、快楽を得るためにひたすら努力することではない。努力そのもののうちに快楽を見出すことである」

アンドレ・ジッド(作家/フランス)

多くの成功者の伝記を詳しく読んでみると、成功した点の凄さばかりが書かれてます。しかし実際の彼らの人生は、挫折と失敗の繰り返し…。それを不屈の精神で粘り強く乗り越えてきたのです。

そんな辛いことばかりではあるものの、当の本人たちの人生は楽しくて仕方なかっただろうと感じます。もちろん挫折したときは「何でこんな辛い目に遭わなければいけないのか」と思ったこともあったでしょう。しかし、心の奥底には「やってやる! 見てろよ!」というものが宿っていたに違いありません。

高い評価を得て尊敬されるということは喜ばしいことですが、彼らにとってそれらは二の次だったはず。一番の幸せは、失敗や困難を乗り越えていく過程の工夫と努力にあったのです。

アンドレ・ジッドが言ったように、良い仕事、世の中をあっと言わせるような仕事をしようと努力することを快楽、楽しみとし続ける人がいる組織こそが、発展するのです。

給料が高いから、余暇が多いから、ということのみを重視するようでは、決して幸福な人にはなれないし、素晴らしい仕事もできません。

TABI LABO この世界は、もっと広いはずだ。