「露出していること」で侮辱された、女性クライマーの戦いの記録
NY出身のIrene Yeeさんは、クライミングのプレイヤーでもあり、写真家としても活躍しています。彼女の作品はどれも、たくましくて強い眼差しの女性たちばかり。
それは過去に浴びせられた、心無い言葉が関係していたのです。
「あなたの写真が注目されるのは、あなたが下着みたいな格好でいるからでしょ?何をしていても、若い子がそんな格好をしてたら目がいくわよ」。
その言葉は、彼女の情熱を侮辱するものでした。
最も不愉快だったのは、そんなコメントを向けてくるのが男性ではなく、同じ女性だったということだと語ります。
服装や年齢、肌の露出によって努力を認めてもらえないなら、自分のあり方を変えることだって出来たはず。けれど何も反論せず、しばらくの間黙ってじっと考えていたそうです。
クライミングと出会う前にも、彼女は肌の色や目の大きさに、コンプレックスを抱き続けてきました。ここで言うことを聞いたとしても、また同じ苦しみを味わうことになると思ったのでしょう。
彼女が選んだのは、まぎれもない「真っ向勝負」でした。
信念を持って挑んでいることを、
恥ずかしいなんて絶対に思わない。
悩んだ末に彼女は、スポーツブラジャーでクライミングする写真を、SNSに投稿することにしました。
「今までしてきた努力は、本当に服装ひとつで無下にされることですか?」と、投稿することで問い続けたのです。たとえそれが、一部には性的な目で見られることになったとしても。
女性が直面する環境は、時々思った以上に困難です。不本意に外見や、結婚、出産などの有無で判断されてしまったり、批判されてしまうことは、なにも珍しい話ではありません。
だからこそ「愛しているものに素直であることは、決して恥ずかしいことではないのだ」と伝えるために、彼女は好きなものを好きな時に着る。そして、同じように情熱を持ってクライミングをする女性を、撮り続けるのでしょう。