彼女が仕事にしたのは、音楽とかき氷…!?
ダブルワーク、要するに副業・兼業が珍しくない世の中になったとはいえ、“ミュージシャン×かき氷屋さん”という掛け合わせは、日本広しといえどこの方くらいなのでは?「ねこね、こねこね。」という一風変わった名前のバンドでボーカル&ギターをつとめ、かき氷屋さんの店長でもある、むらまつえりかさん。どこかノスタルジックでPOPなサウンドと歌声で異彩を放つむらまつさんが、かき氷に見る“夢”とは…?
春夏秋冬、かきごおらー
――すてきなお店ですね!昔からかき氷が好きだったんですか?
むらまつえりか:もともと、かき氷はすごい好きで。春から夏の間はよく食べてましたね。
ある日、“かきごおらー”っていう、“マヨラー”みたいな感じでかき氷を年中食べ歩いている人がいて、その人と出会っておすすめのお店に行ったら冬でもかき氷が食べられることを知って。そこから完全にドはまりして、年中食べるようになりました。
それで、かき氷を食べ歩いているうちに偶然いい出会いがあって、かき氷屋さんの店長をやることになって。他に従業員がいないので、店長といっても私ひとりなんですけど(笑)。
かき氷には“夢”がある?
――かき氷はやっぱり毎日食べてますか?
むらまつ:ここの“賄い氷”は毎日ですね。あと、水曜日が定休日なので、休みの時は外に食べに行きます。
――かき氷の何にそこまで惹きつけられるのでしょう?
むらまつ:見た目、ビジュアルですね(笑)。とんがってるやつより、まるいのが好きです。おもしろいんですよね、かき氷って。お店によって全然味が違うし、氷でも変わるし、機械でも全然変わるので、とても奥深いし、夢があって。
――夢、ですか?
むらまつ:夢もありますよ!だって、食べると幸せになるじゃないですか?私が好きだからかもしれないですけど(笑)。
ーーむらまつさんのかき氷、こだわりポイントを挙げるとすると?
むらまつ:いちばんのこだわりポイントは、“まるく盛ること”ですかね。ビジュアルがやっぱり大事(笑)。
ーーはははは。やっぱりフォルムが重要なんですね。その意味では、かき氷もひとつのアートフォームと言えるというか。実際にお店をやってみて、どうですか?
むらまつ:最初は不安もあったし緊張もしました。でも、みんなかき氷を食べたくて来てくれているので、お客さんの食べている幸せそうな顔を見るとこっちも幸せな気持ちになりますね。
だから、お客さんのために氷をいかにおいしく、シロップを活かして作れるかをずっと考えてます。氷の状態も重要で、冷蔵庫から出してから30分経ってから削るとおいしいとか。気候や気温によっても変わりますし、日々研究ですね。
冬にかき氷屋さんに行く理由
――これからお店をこんな風にしていきたいとか、夢はありますか?
むらまつ:今年から通年営業になるので、一年中愛されるお店になったらいいなと思ってます。やっぱり秋冬って全然お客さんが来ないんですよね。でも人気のお店は秋冬もやってて、秋冬だけグラタンを出したりとか、それがすごくクオリティが高くておいしいんです。
ここで使ってるフルーツが全部香川県のものなので、うちでは香川の名物で“あん餅雑煮”っていう、お雑煮を出す予定です。
ーーかき氷屋さんのお雑煮。
むらまつ:はい。お餅の中にあんこが入ってて、白味噌のお雑煮なんです。もちろんかき氷もたのしんでもらって、秋冬もおいしいんだって思ってもらえたらいいですね。逆に冬の方が湿気がないので氷が美味しかったりするんですよ。当たり前ですけどかき氷は夏だけのものっていうイメージがあるので、そこを変えたいですね。
――ミュージシャンとかき氷屋さん、この2つが影響しあっていることはありますか?
むらまつ:お店に来てくれたお客さんが、ねこね、こねこね。を知ってライブに来てくれたり、音楽を聴いてくれたりとかしてくれて。
あと、ねこね、こねこね。を聴いてくれてるお客さんがお店に来て、「かき氷って、こんなにおいしいんだ!」っていうのでハマって全国食べ歩いちゃったりとか(笑)。
音楽もかき氷も、お互いにもっと広がっていったら良いですね。