暗くて怖い…でも温かい…『鉄コン筋クリート』のクセになる魅力

かき氷屋さんの店長にして、話題のバンド「ねこね、こねこね。」のメンバーという異色のプロフィールを持つ、むらまつえりかさん。前回の『つみきのいえ』に続く、3つめの“オール・タイム・フェイバリット”は鬼才・松本大洋氏の名作『鉄コン筋クリート』です!

映画館に3回も通った理由

むらまつえりか:『鉄コン筋クリート』はアジカン(ASIAN KUNG-FU GENERATION)繋がりで知りました。原作のことは知らなかったんですけど、アジカンが主題歌(「或る街の群青」)になったって聞いて興味を持って。

たしか、それまでアジカンは映画とかの主題歌をやったことがなかったんです。で、主題歌を聴きたいがために3回くらい映画館に通って(笑)。

観る前にもちろん原作を読んでから観たんですけど、映画自体もすごく好きになりました。

クセになる独特の“怖さ”

 ――『鉄コン筋クリート』のどういった部分に惹かれました?

むらまつ:絵的にはちょっとふざけた感じに見えますけど、独特な暗さと、あと、怖さがあって…。そのちょっとダークなところが癖になるというか、すごく惹きつけられますね。だからといって怖いだけじゃなくて、温かみと、優しさも感じる物語で――。

クロとシロとか、それぞれのキャラクターの性格がユニークで、作品全体の色味とか色彩も全部私好みなんです。このアニメーションを制作したSTUDIO 4℃の作品はいろいろ観てますね。

 ――もともとアニメーションは好きだったんですか?

むらまつ:そこまで詳しくないんですけど、アニメーションへの興味はありました。

ねこね、こねこね。はメンバー全員、芸術学部出身なんですけど、私はグラフィックデザインを専攻していて。卒業制作は、映像の授業も取っていたので子ども向けのアニメーションを作ったんです。数字とか色を覚えるためのアニメーション。そのBGMとして簡単なコードで曲を作ったらメンバーがおもしろがってくれて、曲を作るようになって。

 ――映像を作る過程で、図らずも音楽家としての才能が開けたというか。

むらまつ:本当に簡単な曲なので、「えっ、これをバンドでやるの!?」みたいな感じでビックリしたんですけど(笑)。でも、『鉄コン筋クリート』には今も影響されていると思います。

中学3年生くらいの時に、たしか発売がクリスマス前だったので、その時のクリスマスプレゼントはモノじゃなくてお金が良いって言って、自分のおこづかいと足して買いに行ったことをよく覚えてます。もう10年くらい前かと思うと、ちょっとゾッとしちゃいますね…(笑)。

お店の顔ハメ看板越しに語ってくれたむらまつさん(笑)

次回につづきます。前回のフェイバリットはこちら

TABI LABO この世界は、もっと広いはずだ。